2014年05月30日
脳の腹側被蓋野(ふくそくひがいや)は、好意的な感情に重要な役割を持つ神経伝達物質であるドーパミンを多く生成し、報酬への反応や学習の制御に関わっている。この度、ルーヴェン・カトリック大学のWim Vanduffel博士やJohn Arsenault博士らによって、マカクの腹側被蓋野に電気刺激を与えることで好みを変化させることに成功した。
実験では、2つの画像をマカクに選ばせ好みを決定させた。その後、好みではない方の画像を選ぶときに腹側被蓋野に電気刺激を繰り返し与えると、マカクの好みが素早く変化した。またその後同じ実験を逆の画像で行うことで、マカクの好みを元に戻すことにも成功した。
この研究によって、霊長類における腹側被蓋野と好みの関係が始めて明確に示されたことになる。この現象を応用することで、依存症や学習障害などの治療へと利用することができるようになるだろう。腹側被蓋野は脳の奥深くにあるため現在の技術で実用化することは難しいが、光や超音波など電気刺激以外のより実用的な手法が開発されれば治療への利用が現実的になるだろう。

元記事:
'Free choice' in primates altered through brain stimulation
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/05/140529142448.htm
参照:
John T. Arsenault, Samy Rima, Heiko Stemmann, Wim Vanduffel. Role of the Primate Ventral Tegmental Area in Reinforcement and Motivation. Current Biology, 2014; DOI: 10.1016/j.cub.2014.04.044
実験では、2つの画像をマカクに選ばせ好みを決定させた。その後、好みではない方の画像を選ぶときに腹側被蓋野に電気刺激を繰り返し与えると、マカクの好みが素早く変化した。またその後同じ実験を逆の画像で行うことで、マカクの好みを元に戻すことにも成功した。
この研究によって、霊長類における腹側被蓋野と好みの関係が始めて明確に示されたことになる。この現象を応用することで、依存症や学習障害などの治療へと利用することができるようになるだろう。腹側被蓋野は脳の奥深くにあるため現在の技術で実用化することは難しいが、光や超音波など電気刺激以外のより実用的な手法が開発されれば治療への利用が現実的になるだろう。
元記事:
'Free choice' in primates altered through brain stimulation
http://
参照:
John T. Arsenault, Samy Rima, Heiko Stemmann, Wim Vanduffel. Role of the Primate Ventral Tegmental Area in Reinforcement and Motivation. Current Biology, 2014; DOI: 10.1016/j.cub.2014.04.044