聞き手・岩崎生之助
2014年5月31日00時32分
2004年に長崎県佐世保市で起きた小6同級生殺害事件は、周りの子どもの心にも影を落とした。悪夢にうなされ、時間が経ってもふとつらい記憶がよみがえる。「私はもう大丈夫。被害者のことを忘れないでほしい」。事件から10年となる6月1日を前に、元同級生の女性が語った。
あの日のことはよく覚えています。給食時間、カッターナイフを持った加害少女が教室の入り口に立っていました。体じゅう血だらけです。私が「それ絵の具?」って聞いたら、「救急車を呼んで」って。すぐ、先生に連れていかれた。それが彼女を見た最後です。
私、給食当番がイヤで、時々さぼっていました。よく彼女を誘って他の教室でシール交換をした。それで彼女は給食中に被害者の御手洗怜美(さとみ)さんを連れ出すことを考えついたのかもしれない。そのきっかけを作ったのは「私のせい?」って、今でも思ってしまう。
事件後、彼女に追いかけ回される夢を見ました。逃げ込んだ教室でほっと一息ついて、ふと頭上のガラス窓を見たら私を見下ろしている。そこで目が覚めました。怖かった。逆に、仲良くおしゃべりする夢を見たこともあります。
なぜ事件が起きたのか。私も参加していた交換ノートでのトラブルなどが動機とされていますが、いまだに理解できません。大きくなって同級生と「命を奪うほどのことじゃないと彼女も分かっていたはず」「子どもでも罰がないのはおかしい」と話しました。
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朝日新聞社会部
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