円山動物園:マレーバク事故死…プールであご挟まれ
毎日新聞 2014年05月30日 21時27分(最終更新 05月30日 21時32分)
札幌市円山動物園は、絶滅危惧種に指定されているマレーバクの「トーヤ」(雄、2歳)が展示用屋外プールで死んだと発表した。プール内を仕切る鉄柵と壁の隙間(すきま)(約24センチ)に顔を挟まれ水死した。
同園によると、プールは水深90センチ。鉄柵で内部が二つに仕切られている。28日午後3時45分ごろ、柵の一番端の壁との隙間に顔を突っ込み顎(あご)が抜けなくなった。その場にいた職員が暴れているのに気付き救助し心臓マッサージをしたが、間もなく死亡が確認された。
トーヤは体長2メートル30センチ、体重300キロ。同園の「ワカバ」(雌、2歳)の婿として2013年12月、広島市安佐動物公園から来園した。繁殖年齢(3〜4歳)に達していないためワカバと柵越しに飼育していたが、お互いを鼻で確かめ合うなど仲が良く、2世誕生が期待されていた。
マレーバクは神経質で、繁殖が難しいとされる。全国の飼育頭数は34頭(13年12月現在)で、同年の繁殖頭数は1頭のみ。円山動物園でも繁殖は1983年以来ない。北海道大学大学院理学研究院の松島俊也教授(動物行動学)は「動物園は見せるだけの場ではなく、研究・教育の場でもある。今後の事故防止に役立ててほしい」と話している。【山下智恵、袴田貴行】