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危険!伝わっていないのに、伝わっていると思い込むこと

お金がかかっているのに、伝わっていない広告が多い

あのですね、こういうことを書くと批判しているみたいですけど、決して批判じゃないんです。
TV-CMを見ていてちょっと残念だったから、もっとこうしたらいいのにって思ったことを書きます。

ある大手リフォーム会社のCM。
いい感じなんだけど、ちょっと残念。

「企業主語」になっている。
「~しませんか?」と、企業の都合のいい提案になっている。
それをしたら、どんないいことが起きるのか?
どんな問題を解決するのか?
どんな素晴らしい生活が待っているのか?
それをもっと伝えなきゃダメだと思う。

生活者が知りたいこと、聞きたいこと、問題解決するようなこと、それは何かを考えて、そのコンテンツを中心に展開したほうがいいのに。
「顧客主語」の発信です。
まだまだ20世紀の成功体験から抜け出せないのかもしれない。

そのTV-CMには有名な俳優さんが出ているんだけど、有名だから、逆にリアリティがない。
この俳優けっこう好きなんだけど、どうもその物語に合っていない(と思った)。
やらないだろ。ってこと。
無名のどこにでもいそうな人を使ったほうがいいのにな。

そして、「出口」がない。
見た人に興味をもってもらって、ウェブに誘導することくらいはやったほうがいいですよね。
もったいないです。
いい会社なのに。

リフォーム

かっこよくて、面白く、とっても立派。
予算もたっぷり使って、イメージを発信している。
でも、まったく効果がない。
こういう広告って多いと思うんですよ。
あなたの広告物、こうなっていませんか?

そういう広告に、これまで何百億円が無駄に費やされてきたのでしょう。
いやもしかすると、何千億、何兆円かもしれない。
もはや計算不能・・・。

特にTV-CM。
以前に比べると、かなりマシになりましたけど、10本に8本くらいは、

「伝わってないじゃん」

そういうのが多い。
イメージだけで、その商品の魅力がまったく伝わっていない。
そういうCM。

もちろん、CMの質はとってもいいんですよ。
面白いし、センスもいいし、美しいし、魅力的だし。
でも

「どうしてほしいの?」

そういう疑問が浮かぶ。
ひどいのになると、何の商品なのかもわからないCMがある。

前出の企業が以前やっていたCM。
ドラマ仕立てで、めっちゃ面白い。
つづき物で、次にはどういうパターンで展開するのかも気になる。
質のいい、ショートドラマを見ているようなCM。
たぶん、ものすごい予算をかけて製作し、ものすごい予算をかけてオンエアしているのでしょう。

でも、結局のところ効果あったのだろうか?
何の会社か、よくわからなかった。

見ている視聴者に、どうしてほしいのかが、わからない。
それどころか、その商品がどういう商品なのかも、まったくわからない。
意図がまったく伝わないCM。
そういうのが、よくあります。
儲かりすぎて、お金の使い道に困ってしまったのか、もしかすると、文化貢献の一環でやっているのかもしれない、とすら思える。
最低でも、ウェブサイトに誘導しようよ。

ま、企業のコマーシャルだったらいいんですけどね、許せない種類のCMがある。
予算が税金から出ているような公共のコマーシャルの場合。
これは問題ですよね。
まったく伝わっていないものを見るたびに、いかがなものかと思う。
無駄な税金を使っている感じ。
広告代理店の言いなりになって、効果のないプロモーションにお金をかけてしまう。
こういうことってないですか。

たとえば数年前の、とある県のコマーシャルもそうでした。
その県に観光客を呼ぶのが目的のCMだったんですが、あのコマーシャルを見て、その県に観光に行こうと思った人って、いたんだろうか?
そう思わせるCM。
温泉と方言がテーマ。
よくわからないCM。
かっこいいCMではあったけど、イメージだけで、別にその県に行こうと思わない。

たぶん・・・、というか絶対に効果がなかったはずです。
調べてみたら、やっぱり観光客は増えていなかった。
前年と同じだった。
やれやれ。

制作費とオンエア料で2億5000万円。
県民や国民の税金をそんなに使ったんです。
それで効果なし。
2億5000万円は、まったくの無駄金とは言いませんが、ま、・・・ムダだったわけです。

それだけ予算をかける覚悟があるのなら、もっと他の方法があったのに。

ソーシャルメディアを活用して県の観光モニター

2億5000万円も予算があるんだったら、TV-CMという選択肢ではなく、ソーシャルメディアのシナリオを考えたほうが、効果あると思う。

ソーシャルメディアで県の観光客モニターを募集する。
条件は県外に住所のある人。。
県内の旅館・ホテル・観光施設・土産物屋などで使える、1万円の金券がもらえる。
家族4人でモニターになったら、4万円もらえる。
要は観光客に来てもらって、県内でお金を使ってもらおうってシナリオ。

応募があった人の住所に金券を郵送する。
金券は県に来ないと使えない。
もちろんモニターは、ソーシャルメディアで募集する。
郵送だから住所氏名も集まる。

この方法で、モニターを1万人集める、これで1億円かかる。
フェイスブックページやランディングページ作成と、ソーシャルメディアのプロモーションに3000万円。
ポスターや金券、カタログやパンフレット作成、郵送費、雑費などに7000万円。
これで2億円。

ソーシャルメディアのスタッフを5名雇って、県内を取材して発信、交流してもらう。
その人件費や経費に一人1000万円としても5000万円。
集まった住所にアフターフォローして、県の特産品を通販する。
こういうふうにやれば、予算は同じ2億5000万円。

どう考えても、効果のないTV-CMに2億5000万円かけるより、観光客は増えるでしょう。
おまけに、その後のアフターフォローの仕方では、県のファンをたくさんつくることができるはずです。
毎年こういうシナリオを実施し、ファンを作っていく。

もし顔の見えているファンがたくさんいたら、いろいろなことができますよね。
県が主導で県内の名産品を、全国に通販する仕組みを作ったり、ファンだけの特典ツアーを企画したり、さまざまなリアルのイベント、ソーシャルのイベント、観光政策ができる。

あくまでも、案だから。
これがベストっていう意味じゃないけど、ボクがもし2億5000万円の予算を使うのなら、こんなことするかも。
そのほうがTV-CMをやるより面白い展開ができると思うし、効果があると思う。
でも、きっと、こんな荒唐無稽なこと、どこもやらないと思うけどね。
手間がかかってしまって、効果が出るのがじわじわだし、前例もないから。

ともかく、伝わっていないのに、伝わっているような錯覚に陥らないでください。
伝わらないのは、存在しないと同義語なんです。

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藤村 正宏
1958年、北海道釧路生まれ。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。集客施設や企業のコンサルティングを行っている。コストをあまりかけない、誰でもカンタンにできる手法で、圧倒的な成果をあげている。 執筆活動、講演活動もする。現在フリーパレット集客施設研究所主宰。

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