日本が、2006年の北朝鮮によるミサイル発射を受けて断行した独自の対北朝鮮制裁を8年ぶりに解除することを決めた。朝・日(日朝)関係をこう着状態に陥れている日本人拉致被害者の実態について、北朝鮮が全面的な再調査に着手することが条件だ。
北朝鮮と日本は29日、スウェーデンで開いた局長級会合(26-28日)の合意内容を同時に発表。双方は一歩踏み込んで朝・日国交正常化、日本による対北人道的支援にも言及した。このため、今回の合意によって北朝鮮の核問題をめぐる韓米日の協調に亀裂が入るのではないかとの懸念も出ている。
日本の安倍晋三首相は同日午後6時30分から記者会見を開き「拉致被害者問題に関する包括的、全面的な再調査に着手することで北朝鮮と合意した」と発表した。北朝鮮の朝鮮中央通信も同時刻に「拉致被害者」と明示した上で「包括的かつ全面的な調査を進め最終的に日本人に関する全ての問題を解決する意思を表明した」と報じた。日本の要求を北朝鮮が全面的に受け入れた格好だ。
日本の菅義偉官房長官は別途開いた緊急記者会見で「関連問題を調査する北朝鮮の特別調査委員会の活動開始が確認されれば、(独自の対北朝鮮)制裁を解除する」と述べた。北朝鮮による再調査の結果が出てから制裁を解除するのではなく、北朝鮮の再調査がスタートする時点で制裁を解除するわけだ。特別調査委員会は3週間後に発足する。
北朝鮮の朝鮮中央通信は「双方は不幸な過去を清算し、国交正常化を実現するために真摯(しんし)な協議を進めた」として、今回の合意が両国の国交正常化に向けた過程の一環だという点を強調した。北朝鮮はまた「(日本が)適切な時期に共和国(北朝鮮)に対する人道的支援の実施を検討することにした」とも報じた。日本も同様の内容を発表した。
日本は、2006年10月に北朝鮮が核実験を実施して以降、北朝鮮製の全ての製品の輸入を禁止したほか、北朝鮮船舶の入港も禁止した。また09年6月に北朝鮮が2回目の核実験を実施して以降は、日本製品の北朝鮮への輸出も全面的に禁止し、朝・日貿易は完全に停止した。また、10年に発生した韓国哨戒艦「天安」爆沈事件以降、日本は北朝鮮への送金の上限額を1000万円から300万円へと大幅に引き下げ、北朝鮮の資金源となっていた在日朝鮮人からの送金を封じ込めた。これらの制裁は国連の対北朝鮮制裁とは別に行われていた。
韓国政府は「人道的見地から、日本人拉致問題に対する日本の立場を理解する」としながらも「北朝鮮の非核化問題については、韓米日3カ国による国際的な協調を続けるべきという共同の認識を持っていることから、朝・日協議の動向を今後も見守りたい」と述べた。