週刊現代(2008年3月29日と4月5日号)


<驚愕スクープ>


関西電力・高浜原発「町長暗殺指令」

(その1)<G研の分析>


 何ともおぞましい暴露記事が掲載されたものである。高浜発電所の元副所長が、 発電所の仕事を請け負っている下請け業者をそそのかし、高浜町長を殺害するよ う依頼したというのである。

 この暴露記事を掲載したのは週刊現代で、3月29日号と4月5日号の2週続 けて大きく取り上げている。殺害を依頼したという発電所の元副所長だけ「K氏」 と匿名になっているが、殺害を依頼された下請け業者の経営者や担当者など関係 者達は実名のようである。

 殺害を依頼する、殺害をし向けるという行為は、刑法では「殺人教唆」にあた り、実際に殺害が実行されていれば、実行犯と共に依頼した人物も罪に値するら しい。「らしい」というのは、我々は法律の専門家ではないので、自信を持って 断定はできない。とくに殺人を実行した者と、殺人を教唆した者の罪はどちらが 重いか、といった判断はつきかねる。

 しかし、殺人は幸いにも実行されなかった。「あれは冗談だった」と済ませて、 関係者の胸のうち深くしまい込んで片づけることもできた。しかし、殺人を依頼 された側は、仕事をくれた電力の上の人から「命じ」られたのだから、実行寸前 まで追いつめられていたが、チャンスを伺っている間に正気に戻って実行しなか った、というのである。「実行しなくてよかったなぁ」ではすまされないという のである。

 殺人を依頼した方は、大企業の社員だから、人事異動で発電所を離れ、退職も したから、「沈黙を保っている」と、これまた依頼された側は気が収まらないと いう。

 殺人が実行されていたなら、依頼されて実行した容疑者が逮捕され、その取り 調べの段階で依頼した人物の存在が明らかになり、殺人教唆の容疑で逮捕されれ ば、依頼したか否か、その動機、経緯など依頼者は自白するかも知れない。しか し、殺人は実行されず、実行犯も逮捕されていない段階で、例え名うての週刊誌 記者といえども、取材に応じることはないだろう。「口を開ければ、唇寒し」で、 いずれにせよ週刊誌に何を書かれるか知れたものでないから、取材に応じても得 なことは何もないということだろう。

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