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<バルカン半島>洪水で市民の多く避難 流出した地雷の恐怖

毎日新聞 5月29日(木)10時15分配信

 【ベルリン篠田航一、ワシントン和田浩明】欧州南東部バルカン半島で今月中旬から、豪雨が続いた影響で洪水が発生し、独公共放送ARDなどによると、ボスニア・ヘルツェゴビナでは国民の4分の1にあたる95万人が避難している。1990年代の旧ユーゴスラビア紛争時に埋設されたままの地雷が流されて各地に散乱しており、地雷による「2次災害」への懸念は各地で高まっている。

【無残】洪水で損傷した重機

 豪雨は過去120年で最悪規模とされ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、クロアチアの3カ国で少なくとも50人が死亡した。

 ボスニアには現在、推計で約12万個の地雷が埋設されたままになっているほか、多数の不発弾が地中に埋まっている。この一部が洪水で流されたとみられる。けが人は出ていないが、北東部ブルチコ近郊では爆発する騒ぎが発生した。

 洪水で地雷などが散乱した地域は最大320平方キロに及ぶとみられる。地雷原を示す標識もなく、住民が知らずに足を踏み入れてしまう事態も懸念されている。

 米国務省は25日、爆発物処理専門家の現地派遣を発表。米国務省によると、地元当局の地雷撤去技術のレベルは高いものの、今回は対象範囲が広く、水中やぬかるみでの除去など困難な作業が予想されるという。米国はこれまで、ボスニアとセルビアに約1億1000万ドル(約112億円)の地雷・不発弾除去支援を実施している。

 26〜27日にはドイツのシュタインマイヤー外相もボスニアを訪れ、被災者支援や地雷除去のため計700万ユーロ(約9億8000万円)の拠出を約束した。国際NGOなどの集計によると、地雷やクラスター(集束)爆弾の不発弾による世界の死傷者は2012年で3600人を超えている。埋設済みの地雷は1億個を超えるとの推計もある。

 ◇在日セルビア大使館 義援金受け付け

 バルカン半島での洪水被害を受け、セルビアのネナド・グリシッチ駐日大使が27日、毎日新聞のインタビューに応じ、「日本の皆さんには長期的な支援をお願いしたい」と呼びかけた。

 セルビアでは27人が死亡し、2万5000人が避難している。グリシッチ大使は「現場は津波に流された後のような状態で、衛生状態も悪く復旧は困難を極めている」と説明。道路が寸断され支援に支障が出ているという。

 在日セルビア大使館には洪水発生直後から義援金や晴天を願うてるてる坊主などが贈られている。大使館では義援金専用口座を開設したほか、持ち込みでの寄付も受け付けている。問い合わせは同大使館(03・3447・3571)。【中西啓介】

 ◇ユーゴ紛争

 宗教、言語が異なる六つの共和国が連邦国家を形成していた旧ユーゴスラビアが、1990年代に分裂した過程で起こった紛争。セルビア共和国大統領に就任したミロシェビッチ氏が掲げた「大セルビア主義」に反発し、91年以降、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナなどが相次いで連邦からの離脱・独立を宣言。各国内の異なる民族系住民の間で内戦状態となった。95年のデイトン合意で停戦するまで20万人以上の死者や数百万人の難民を出した第二次大戦後欧州最大の民族紛争となった。

最終更新:5月29日(木)18時8分

毎日新聞

 

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