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岐阜と滋賀の県境にそびえる伊吹山(1377メートル)。標高はあまり高くありませんが、ここは豪雪の山として知られています。冬、日本海からの湿った強い季節風は平地を吹き抜けてそのまま伊吹山にぶつかり、大量の雪と深い霧をもたらすのです。こうした寒冷な気候の影響で伊吹山には高山植物が育つなど、独特の自然が見られます。3月、山麓の森にセツブンソウの花が咲く頃、木々の芽吹きが始まります。森ではアナグマやヤマドリが食べ物を探して回り、雪に閉ざされた山頂近くではニホンカモシカが針葉樹の葉や樹皮で命をつなぎます。5月、ニリンソウが花開き、山頂付近も春の息吹に包まれる頃、ニホンカモシカは子どもを産み、森の恵みを受けて新たな命を育みます。番組では春深まりゆく伊吹山で、刻々と移ろう自然とそこに息づく命を見つめます。 |