「県立医学部」きょう申請 宮城知事が正式表明
東北への大学医学部新設で、宮城県の村井嘉浩知事は29日、県立での医学部設置構想を国に申請すると正式に発表した。1学年の定員は60人と想定。構想が認められれば連携する財団法人厚生会仙台厚生病院(仙台市青葉区)から最大200億円の資金援助、宮城県栗原市から市立栗原中央病院の無償譲渡などを受け、同病院と周辺をキャンパスとして整備する。開学は2016年4月を目指す。
村井知事は同日午後、県庁で臨時の記者会見を開き「東北、宮城の医師不足解消に向け、県立医学部の申請を決意した」と述べた。30日、文部科学省に構想を提出する。
県の構想によると、栗原中央病院(300床)に300床を増床し、計600床の付属病院を整備する。入学者全員に修学資金を貸し付け、卒業後10年間、東北6県の自治体病院への勤務を義務付ける。派遣を受けた自治体が卒業生に代わり、貸付金を返還する。
村井知事は会見に先立って仙台市内で行った講演で、毎年の卒業者60人の派遣先を宮城20人、他5県は各8人とする考えを明かし、「(全国各地に卒業生を供給する)自治医科大の東北版を目指す。付属病院にはいいドクターに来てもらい、全国から患者を集める」と意欲を見せた。
初期投資は約270億円と試算。県は当初最大約500億円と積算していたが、運営規模を最低限に抑えることで圧縮可能となった。運営費は年20億〜30億円を見込む。
公立大学法人が運営する宮城大(大和町)に医学部を設置するか、単科大として整備するかは引き続き検討する。
厚生病院と栗原市は27日、設置主体となる予定だった東北福祉大(仙台市青葉区)との連携解消を公表。県立による医学部新設を村井知事に要請していた。
県立医学部の設置構想を受け、厚生病院の目黒泰一郎理事長は「提出期限が迫る困難な状況下での決断に心から感謝している」、栗原市の佐藤勇市長は「医療過疎地域の大きな希望になる」と話した。
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2014年05月30日金曜日