起業をするということは決して楽な道のりではない。資本を集め、戦略を立て仲間を増やし数々のトラブルと戦っていく。そんな中で、なぜ起業家は起業をしていくのか。
今回はスタートアップへのシード投資を行うMOVIDA JAPAN主催のs.schoolにて起業のスペシャリスト集団、BEENOS技術戦略室 室長を経て、自身で株式会社イロドリを設立する加藤寛之氏の講演の中から、起業をする中での「成長」というキーワードに焦点をあててまとめる。
起業とは「成長」である
起業をすればどこかの組織に属して働くといったワークスタイルや考え方とはまた別の働き方をすることになる。起業で得られるものとは一体何なのか。
加藤氏は「起業とは成長である」と語る。そして起業し成長していく中で得られる大きなものは以下の3つだと話した。
・所属する組織では難しい問題解決への別アプローチができるようになる
ー解決することが出来ない問題を「新しいものを生み出していく」ことで問題解決へ導くことができる。
・自分で自分の仕事を選ぶことが出来るようになる
ー案件ありきの仕事ではなく、自分がやりたいことや自分が学びたいことが出来るようになる。
・自分が生み出せるものが明確化される
ー誰も助けてはくれない分、自分がやったことに対して結果が明確にあらわれるようになる。
講演の中では「丸裸になって今の己と向き合う中で成長する」ことが起業では可能だと話した。
「自分→会社→組織」と成長する上で起こること
起業時は独立し、まず一人で事業を始めるところから人数やサービスを伸ばして会社らしくなり、さらに大きな組織になっていく。加藤氏は起業に関わる「自分・会社・組織」の3段階でそれぞれが成長することにより事業に変化が訪れることを述べた。ここでは3点が成長することでの影響とその際の注意点についてまとめる。
自分の成長
起業をすると組織に所属しているのに比べて担当範囲が増える。経営層に近づくにつれ経営感覚が身につき、お金の大切さや、社員への心配りを行うようになる。
またチームで作業を行う難しさにも気づく。どうやったらメンバーが働いてくれるのか。どうしたらサービスのスピードや範囲をひろげていけるか。ということを積極的に考えるようになる。
そして自分の市場価値を常に意識するようになる。与えられた仕事を行っていたときよりも持っているスキルや持つべきスキルが明確にあらわれる。
自分の成長の中での注意点
成長していく中で担当範囲が増えると、多くの仕事をこなさなければならず、自分の専門外の仕事も行わなければならないためオールラウンダーになりがちになってしまいがちだ。なんでも出来るをウリにするのではなく「ここは負けない」という分野を持つことこそが正しい成長の道のりである。
また会社の文化が出来てくると自身の視野が狭まりがちになる。社外の優秀な人材に目を向けていくことが必要だ。どうしても会社の中で自分のスキルを最適化してしまいがちである。自分の事業に集中することは必要だが、自分が市場の中でどういうポジションにいるのかというのを常に意識してスキルアップしていくことが必要だ。