フィギュアスケートのオフシーズンがやってきました。オフとはいえ、選手は来シーズンに向けての準備をしなくてはいけないため、それぞれに忙しい日々を送っています。オフとシーズン中では練習内容は違うのか、また氷上と地上での練習はどんなことをしているのだろうと疑問に思っている方もたくさんいらっしゃることでしょう。これらを私の経験も入れながらお伝えしていきます。
選手たちのオフシーズンは、来シーズンに向けての選曲から始まります。練習も含めると1シーズンで何百回と聴く曲になるので、納得がいくまでじっくりと時間をかけて行う選手が大半です。演技時間ピッタリで終わる曲はなかなかないので、曲を短くしたり、違う曲とつなげたりなどといった編集作業を行います。
曲が完成し、振り付けが終わればシーズンへの準備が半分ほど整うのですが、大変なのはここからです。完成したプログラムの精度を上げるための技術練習や、1シーズン競技していくための体力作りが始まっていきます。
まずは技術練習ですが、プログラムを何回も繰り返して滑りこんでいく練習とジャンプやスピンだけを繰り返して練習をするというパターンが多いです。選手の練習環境によっては、毎日曲をかけて練習することが難しいこともありますが、曲なしでプログラムを通して演技したり、「前半」「後半」「ステップのみ」といったパートに分けて練習をしたりすることもあります。
曲を表現することは1日や2日でできるものではないため、毎日積み重ねて練習を行います。また、ジャンプ・スピンだけを繰り返し練習する場合は、新しい技の挑戦やジャンプ・スピンの質を上げるといった目的を持って練習を行います。
ジャンプ練習は氷上に限らず、地上でも練習をし、回転軸を身体に覚え込ませます。新しい技ができるようになると、プログラムに組み込んで練習を行うのですが、新しい技を入れることによってプログラムのつなぎを変えなくてはいけないことが多く、振り付け師にブラッシュアップを依頼する選手もいます。プログラムの練習は地上でも行う選手が大多数で、日々試行錯誤を重ねていき、試合が始まる頃には、身体が勝手に動き出すくらいまでプログラムを身体にしみ込ませます。
体力作りに関しては、走り込みといった心肺機能向上を目的としたトレーニングが中心です。短い演技時間の中で、ジャンプなどの技を行いながら、かつスピードを落とさないようにするには、持久力・瞬発力の両方が必要となってきます。トレーニング方法は選手・コーチの考え方によってさまざま。マシンを使用したり陸上で走り込んだりと、選手それぞれに合わせたトレーニング方法で身体を作っていきます。学業と両立している選手がほとんどなので、夏休みを利用してチームメイトと合宿を行う選手もいます。
これだけの準備をしてシーズンを迎えるのですが、シーズン中も技術・体力共に維持しなくてはいけないため、ある程度の練習やトレーニングを積み重ねていきます。試合が1つ終わると、次の試合までの日数などを考えながら追い込んだり休んだりを繰り返し、選手自身が最も大事にしている試合に向けて調整していきます。
一言に調整といっても、身体のケアをしたりトレーニングを行ったりと、調整方法は選手一人ひとり違ってきます。この練習をした次の日は身体の調子が良かった、もしくは悪かった、といった内容を日々の練習で感じ、それを基に調整していく選手が多いように感じます。
ソチ五輪で金メダルを獲得した羽生結弦選手は、日々「スケートノート」をつけているということを聞きました。ジャンプやプログラムでの注意点、身体の調子が良かった日やその前日は何を食べたかなど、ささいなことでも記録として書いておくことで、試合前に役立つことがあります。私が指導している関西大学で練習するスケーターの中にもノートに記録をつけている選手は多いですが、引退するまで続けてほしい習慣だと思っています。
今はオフシーズンということもあり、来シーズンの選曲・振り付けを行っている選手が多いことでしょう。この記事を読んでくださっている方も、何かの曲を聴いたときに「あの選手がこの曲で滑ったら似合いそう」といった想像するのもいいかもしれませんね。
筆者プロフィール : 澤田亜紀(さわだ あき)
1988年10月7日、大阪府大阪市生まれ。関西大学文学部卒業。5歳でスケートを始め、ジュニアGP大会では、優勝1回を含め、6度表彰台に立った。また2004年の全日本選手権4位、2007年の四大陸選手権4位という成績を残している。2011年に現役を引退し、現在は母校・関西大学を拠点に、コーチとして活動している。
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