映画の中の世界

SF映画が描く恐ろしい未来を実現させつつある世界ディストピアSFのような世界のコンテクストを読み取ろう

2014.05.30(金)  竹野 敏貴

ウクライナ大統領選挙はペトロ・ポロシェンコ元外相の圧勝だった。次期大統領は、ロシアとの対話の用意があると語るが、選挙後も、東部ドネツクで空港を占拠した親ロシア派武装集団をウクライナ軍が空爆するなど、混乱が収まる気配はない。

 欧州議会選挙では、フランスで国民戦線が最大支持を得るなど極右政党が各地で票を集め、英国ではEU離脱を掲げる英国独立党が、ギリシャやスペインでは緊縮財政に反対する左派勢力が、と各地で「反EU」勢力が躍進。欧州の「ボーダー」を巡る対立は内に外に先鋭化し続けている。

マイケル・ジャクソンが❝新曲❞を発表

マイケル・ジャクソンのニューアルバム「エスケイプ」

 一方、「事実上の」クーデター後のエジプトで行われた大統領選挙はアブデルファタフ・サイード・シーシ前国防相が当選確実、クーデターが発生したばかりのタイでは国王の承認を得て「正式に」軍政が始まった。

 ベトナムでは南シナ海での石油掘削などを巡り中国との対立が悪化、サウジアラビアは政治的には安定しているものの、致死率の極めて高いウィルス性疾患MERS感染者が増加、米国でも患者が発生、その米国ではまた銃乱射事件・・・。

 この1週間、世界各地から届いたニュースは、ディストピアSFの背景設定と見まがうばかりの暗澹たる未来を予見させるものばかりだった。

 そんななか、ちょっと一息つけたのが、マイケル・ジャクソンの「新曲」の話題。未発表音源を集めたアルバムが発表され、ビルボード・ミュージックアワードのステージに「マイケルが登場」したことが、注目を集めたのである。

バニラ・スカイ

 もちろん既にマイケルは故人。現実世界の巨大なステージへと飛び出したマイケルの「実体」は、できのいいホログラムだった。

 『バニラ・スカイ』(2001)に登場する、個人パーティで「演奏する」チャーリー・パーカーのホログラムのごとく、お気に入りの歌手と個人的に3Dデュエットできる日もすぐそこまできている。

 技術の電話への応用も進んでいる。スカイプなどの登場で、ビデオ電話が身近なものとなったのは、つい最近のことだが、ホログラム電話も現実のものに近づいているらしい。

 よりリアルなRPGも登場、『トータル・リコール』(1990)でシャロン・ストーンが受けていたようなホログラムによるテニスレッスン、なんていうのも実現するかもしれない。

 政治家も技術の恩恵にあずかっている。インドのナレン…
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