2014年05月30日
天才・阿部共実の本領発揮「ちーちゃんはちょっと足りない」「ブラックギャラクシー6」
「阿部共実はやはり天才だったか…」
今月2冊同時発売された「ちーちゃんはちょっと足りない」「ブラックギャラクシー6」を読んで、そう思いました。
こんなにも「分かりやすい天才」はそうそう居ないですよ。阿部共実の作家性はいろいろあるだろうけど、まとめて「天才」の一言で片付けてしまうのが手っ取り早いｗ
今月2冊同時発売された「ちーちゃんはちょっと足りない」「ブラックギャラクシー6」を読んで、そう思いました。
ブラックギャラクシー6 (少年チャンピオン・コミックスエクストラ)
posted with amazlet at 14.05.28
阿部 共実
秋田書店 (2014-05-08)
秋田書店 (2014-05-08)
ちーちゃんはちょっと足りない (少年チャンピオン・コミックスエクストラもっと!)
posted with amazlet at 14.05.28
阿部 共実
秋田書店 (2014-05-08)
秋田書店 (2014-05-08)
こんなにも「分かりやすい天才」はそうそう居ないですよ。阿部共実の作家性はいろいろあるだろうけど、まとめて「天才」の一言で片付けてしまうのが手っ取り早いｗ
まずは「ちーちゃんはちょっと足りない」から読んだんですが、これがまぁ心をかきむしられる作品でして…。もうね、今年ナンバーワンですよ、この感情の揺さぶられ方は。傑作です。
主人公はタイトルとかでは形式上「ちーちゃん」になっています。もう中学生なのに、掛け算もロクにできないし、子供向けのアニメを見て楽しそうにマネをしていたりと、たしかに「ちょっと足りない」感があります。
「どらどらどらあ！」「ちー！」など、麻雀用語を絶叫しているあたりから、彼女の秘めたる将来性には期待したいところではありますが。
ただ、この物語は実質的にはちーちゃんの幼馴染で親友のナツの物語でした。神戸の団地住まいで、困窮しているわけではないけど買いたいものが自由に買えるほど豊かではない生活の閉塞感。周りの友人と自分の生活レベルを比べてしまう暗い思い。そして、そんな思いを抱えながらも明るく前向きに物語は進んでいくのかと思いきや、急転直下に暗く黒く展開していくナツの心情。そこからの一捻り、二捻り。そんな、白い表紙デザインとは裏腹にドス黒い物語、最高でした。ほんと、阿部共実の天才性を語りたくなる最高の1冊でしたね。
第1話と最終話のラストカットの比較とかもうね…。同じ場所を同じ角度から描いていますが、そこから旭ちゃんの姿は無くなってしまった。駐車場は埋まっている。でも、ナツの心は本当に埋まっているのか。人物の立ち位置は前へと進んでいる。でも、ナツとちーちゃんは本当に前へと進めているのか。いろいろと考えてしまいます。旭ちゃんは賢い子だから、ちーちゃんが庇った相手がナツだと気付いているでしょう。それでも、旭ちゃんの方からナツを責め立てることは無いだろう。この子たちの人間関係はこれからどうなるのか。将来は。ほんと、この作品はただの「物語」ではなく、ナツたちの人生のほんの一部を切り取って見せてもらったものというような、「これから先もまだまだ続いていく」ことを感じさせます。見たい。見たいけど、見たくない。ああもう、ほんと心を揺さぶられました。
-----
さて、続いての「ブラックギャラクシー6」の方は、そこまで「天才！」とは思わなかったのですよ、失礼ながら。まぁ作品の空気の違いでしょう。心を揺さぶる黒い作品の方がズシンと来るものです。黒い表紙デザインとは裏腹に、中身はとても白く爽やかな、高校生男女のグダグダしたやりとりだけで終わりました。ダラダラと言うと語弊があるかもしれませんが、そんなダラダラグダグダとしたやりとりが面白かったのです。しかし、最後の方は「そろそろ何か起こるんじゃないか？」とハラハラしながら読みましたが、本当に最後までたいしたことは起こりませんでしたｗ
さて、男女様々なキャラがいてみなさんそれぞれ好みが分かれるところでしょうが、私がイチオシしたいのは、部長を務めるメガネっ娘の「ギドラ」さんですね。中学時代がパッとしなかったようで高校デビューを目論みますが、わりとその目論見通りに男女の友人を集めて謎部活を作って部室でダラダラと過ごすという「これぞ青春！」な高校生活を送っています。やや中二病を引きずっているのが玉に瑕ですが、明るく元気なところも可愛らしいですし、さりげに胸が大きめなのも素晴らしいです。
ただ、私が一番注目したいのは、彼女の口癖です。
「モチのロンロンロン」！
「もちろん」という言葉から、麻雀用語である「ロン」を強調して3回も繰り返すこの口癖！ ギドラさんから熱い麻雀愛を感じますね。
今年はまだ半分も終わっていませんが、「ちーちゃんはちょっと足りない」の方は、暫定的に「今年のナンバーワンだ！」と思えるほどの傑作でした。ただ、2冊合わせての落差もまた素晴らしいです。まだ読んでいない人はぜひ、2冊まとめてお楽しみください。どちらから読むかはお任せしますｗ この読む順番、読後感が大きく変わるからとてもとても大事ですよｗ
主人公はタイトルとかでは形式上「ちーちゃん」になっています。もう中学生なのに、掛け算もロクにできないし、子供向けのアニメを見て楽しそうにマネをしていたりと、たしかに「ちょっと足りない」感があります。
「どらどらどらあ！」「ちー！」など、麻雀用語を絶叫しているあたりから、彼女の秘めたる将来性には期待したいところではありますが。
ただ、この物語は実質的にはちーちゃんの幼馴染で親友のナツの物語でした。神戸の団地住まいで、困窮しているわけではないけど買いたいものが自由に買えるほど豊かではない生活の閉塞感。周りの友人と自分の生活レベルを比べてしまう暗い思い。そして、そんな思いを抱えながらも明るく前向きに物語は進んでいくのかと思いきや、急転直下に暗く黒く展開していくナツの心情。そこからの一捻り、二捻り。そんな、白い表紙デザインとは裏腹にドス黒い物語、最高でした。ほんと、阿部共実の天才性を語りたくなる最高の1冊でしたね。
第1話と最終話のラストカットの比較とかもうね…。同じ場所を同じ角度から描いていますが、そこから旭ちゃんの姿は無くなってしまった。駐車場は埋まっている。でも、ナツの心は本当に埋まっているのか。人物の立ち位置は前へと進んでいる。でも、ナツとちーちゃんは本当に前へと進めているのか。いろいろと考えてしまいます。旭ちゃんは賢い子だから、ちーちゃんが庇った相手がナツだと気付いているでしょう。それでも、旭ちゃんの方からナツを責め立てることは無いだろう。この子たちの人間関係はこれからどうなるのか。将来は。ほんと、この作品はただの「物語」ではなく、ナツたちの人生のほんの一部を切り取って見せてもらったものというような、「これから先もまだまだ続いていく」ことを感じさせます。見たい。見たいけど、見たくない。ああもう、ほんと心を揺さぶられました。
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さて、続いての「ブラックギャラクシー6」の方は、そこまで「天才！」とは思わなかったのですよ、失礼ながら。まぁ作品の空気の違いでしょう。心を揺さぶる黒い作品の方がズシンと来るものです。黒い表紙デザインとは裏腹に、中身はとても白く爽やかな、高校生男女のグダグダしたやりとりだけで終わりました。ダラダラと言うと語弊があるかもしれませんが、そんなダラダラグダグダとしたやりとりが面白かったのです。しかし、最後の方は「そろそろ何か起こるんじゃないか？」とハラハラしながら読みましたが、本当に最後までたいしたことは起こりませんでしたｗ
さて、男女様々なキャラがいてみなさんそれぞれ好みが分かれるところでしょうが、私がイチオシしたいのは、部長を務めるメガネっ娘の「ギドラ」さんですね。中学時代がパッとしなかったようで高校デビューを目論みますが、わりとその目論見通りに男女の友人を集めて謎部活を作って部室でダラダラと過ごすという「これぞ青春！」な高校生活を送っています。やや中二病を引きずっているのが玉に瑕ですが、明るく元気なところも可愛らしいですし、さりげに胸が大きめなのも素晴らしいです。
ただ、私が一番注目したいのは、彼女の口癖です。
「モチのロンロンロン」！
「もちろん」という言葉から、麻雀用語である「ロン」を強調して3回も繰り返すこの口癖！ ギドラさんから熱い麻雀愛を感じますね。
今年はまだ半分も終わっていませんが、「ちーちゃんはちょっと足りない」の方は、暫定的に「今年のナンバーワンだ！」と思えるほどの傑作でした。ただ、2冊合わせての落差もまた素晴らしいです。まだ読んでいない人はぜひ、2冊まとめてお楽しみください。どちらから読むかはお任せしますｗ この読む順番、読後感が大きく変わるからとてもとても大事ですよｗ
ブラックギャラクシー6 (少年チャンピオン・コミックスエクストラ)
posted with amazlet at 14.05.28
阿部 共実
秋田書店 (2014-05-08)
秋田書店 (2014-05-08)
ちーちゃんはちょっと足りない (少年チャンピオン・コミックスエクストラもっと!)
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阿部 共実
秋田書店 (2014-05-08)
秋田書店 (2014-05-08)
この記事へのコメント
1. Posted by えるもあ 2014年05月29日 22:45
なんでもかんでも麻雀に絡めようとするこの思考…
やはり天才か…
やはり天才か…
「咲-Saki-全国編」BD1巻
