川内原発 避難に最大29時間も5月30日 7時00分
運転再開の前提となる国の安全審査が優先的に進められている川内原子力発電所について、鹿児島県は、事故が起きた場合、30キロ圏内の住民の避難に29時間近くかかるケースがあるとする試算の結果を公表しました。
鹿児島県は「1日以内の避難はおおむねできる」としていますが、専門家は「さらに時間がかかることもある」と指摘しています。
鹿児島県は、川内原発での事故に備えて半径30キロ圏内の住民およそ21万人について、自家用車を使って避難する際にかかる時間をコンピューターで試算しました。試算では、主要道路の使用状況や車1台に乗る人数、それに天候などさまざまな条件を変えて、避難する人の90パーセントが30キロの外に出るまでの時間を推計しています。
その結果、最も早い避難は、車1台に4人が乗り合わせ、混雑する交差点で交通整理が行われる場合で、9時間15分となりました。一方で、最も時間がかかるのは、車1台に2人しか乗らず、主要道路の南九州西回り自動車道が通行できない場合で、28時間45分となりました。
これについて鹿児島県は「国の指針では一定の放射線量を超える地域は1日以内に避難することとされているが、おおむねこうした行動が取れるという結果になっている。試算を基に避難の実効性を高めたい」としています。
専門家「最悪のケース考えなければ」
原発事故の際の避難に詳しい法政大学の上岡直見非常勤講師は「原発事故の教訓となった要援護者の避難などの課題が残っているうえに、5キロ圏内に避難指示が出されたとき、指示が出されていない30キロ圏内の人たちも一斉に避難を始めることによる混乱で、5キロ圏内の人たちの避難がどの程度遅れるかの検討ももっと詳しくする必要がある。今回の試算で行った想定に限らず、さらに時間がかかる想定もあり、最悪のケースを考えなければならない」と指摘しています。
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