インターネットによる人権侵害に注意!
- インターネットはコミュニケーションの輪を広げる便利な道具ですが、一方で、インターネットにより他人の人権を侵害する事件(人権侵犯事件)が発生しています
- インターネット上で安易に他人への誹謗(ひぼう)中傷や無責任なうわさ、プライバシー情報を流すことは、人権侵害につながります。場合によっては、名誉毀損(きそん)の罪に問われることもあります
- インターネットの特性について理解を深め、ルールやモラルを守って人権を尊重する気持ちを持ってインターネットを利用しましょう
- インターネット上で人権侵害を受けた場合、被害者はプロバイダなどに情報の削除を求めることができます。被害者自ら削除を求めることが困難な場合は、法務省の人権擁護機関(法務局・地方法務局)にご相談ください。人権擁護機関がプロバイダなど に削除の要請を行うこともあります
- 法務省の人権擁護機関では、インターネットでも人権相談を受け付けており、どなたでもパソコンや携帯電話からいつでもアクセスできます。また、子どもの人権問題は「子どもの人権110番」でも電話相談を受け付けています
インターネットには、掲示板やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などコミュニケーションの輪を広げる便利な機能があり、その利用が進む一方で、その利用に際して、他人の人権を侵害してしまう事件が発生しています。安易な書き込みでほかの人の人権を傷つけないために、インターネットの特性を踏まえた上で、インターネット上で起こり得る人権侵害について理解を深め、ルールやモラルを守って利用することが大事です。また、もしも、インターネット上で人権侵害の被害を受けたときは、一人で悩まず、法務省の人権擁護機関にご相談ください。
インターネットで他人の個人情報を流したり、誹謗中傷や無責任なうわさを広めたりすることは、人権侵害につながります
インターネットでは、簡単には自分の名前や顔を知られることなく発言することができます。そのため、匿名性を悪用した人権侵害が発生しています。最近では、いじめなどの問題をきっかけに、インターネット上にその事件の関係者とされる人たちに関して、ひどい言葉を用いた書き込みや不確かな情報に基づく無責任な書き込みがされたり、誤った情報に基づいて全く関係のない人たちを誹謗中傷(根拠のない嫌がらせや悪口)する書き込みがされたりしていると報道されています。
インターネットでは、いったん掲示板などに書き込みを行うと、その内容がすぐに広まってしまいます。また、その書き込みをネット上から完全に消すことは容易ではありません。誹謗中傷や他人に知られたくない事実、個人情報などが不特定多数の人々の目にさらされ、そのような情報を書き込まれた人の尊厳を傷つけ、社会的評価を低下させてしまうなど、被害の回復が困難なほど重大な損害を与える危険があります。また、このような人権侵害は、名誉毀損の罪に問われることもあります。
平成23年中に法務省の人権擁護機関である全国の法務局が処理したインターネットを利用した人権侵犯事件の数は624件となりました。このうち、特定の個人について、根拠のないうわさや悪口を書き込むなどして、その人の社会的評価を低下させるといった名誉毀損に関する事柄が約3割、個人情報や私生活の事実にかかわる内容などを本人に無断で掲載するといったプライバシー侵害に関する事柄が約5割となっており、この二つの事柄だけで全体の約8割を占めています。
インターネットを利用するときも、ルールやモラルを守り、相手の人権を尊重しましょう
インターネットを利用するときも、直接人と接するときと同じようにルールやモラルを守り、相手の人権を尊重することが大事です。お互いの顔は見えなくても、インターネットでつながった先にいるのは、心をもつ生身の人間であるということを忘れずにコミュニケーションをとりましょう。
発信者が特定できないから何を書いても構わないと思うのは間違いで、捜査機関による発信者の特定は可能です。匿名の書き込みであっても、責任が生じ得るということを覚えておきましょう。
インターネット上の人権侵害を防ぐために
- 他人を誹謗中傷する内容を書き込まない
- 差別的な発言を書き込まない
- 安易にあいまいな情報を書き込まない
- 他人のプライバシーに関わる情報を書き込まない
- 書き込みが不特定多数の人に見られる可能性があるということを意識する
インターネット上で人権侵害があったときは、プロバイダなどに情報の削除依頼を
インターネット上に自分の名誉を毀損したり、プライバシーを侵害したりする情報が掲載されても、発信者がだれか分からないため、被害者が被害を回復するのは困難です。掲示板やSNSであれば、被害者は、その運営者(管理人)に削除を求めることができます。さらに「プロバイダ責任制限法」という法律など(※参考)により、被害者は、プロバイダやサーバの管理・運営者など(以下、「プロバイダ」と言います)に対し、人権侵害情報の発信者(掲示板やSNSなどに書き込んだ人)の情報の開示を請求したり、人権侵害情報の削除を依頼したりすることができるようになっています。
開示請求や削除依頼は、証拠として保存するために、メールや文書で行うようにしましょう。ただし、掲示板などに直接削除依頼を書き込むことは、掲示板上の議論に巻き込まれたりすることがあるので、注意が必要です。
被害者自らが削除を求めることが困難な場合は、法務省の人権擁護機関が削除を要請
被害者自らが削除を求めることが困難な場合は、法務省の人権擁護機関である全国の法務局およびその支局(以下、「法務局」といいます)にご相談ください。
法務局では、まず、プロバイダへの発信者情報の開示請求や人権侵害情報の削除依頼の方法について助言を行うなど、被害者自らが被害を回復・予防を図るための手助けをします。
また、このような手助けをしても被害者自らが被害の回復・予防を図ることが困難な場合や被害者からの削除依頼にプロバイダが応じないなどの場合は、法務局が、プロバイダへの削除の要請を行います。法務局からの削除要請は、被害者からの被害申告を受けて、被害者が受けたインターネット上での人権侵害について法務局が調査を行い、名誉毀損やプライバシー侵害に該当する場合などに行います。
平成23年に処理したインターネットを利用した人権侵犯事件624件中、法務省の人権擁護機関がプロバイダなどに対し削除要請を行ったものは62件ありました。
法務省人権擁護機関による人権侵害情報への対応
インターネット人権相談受付窓口やみんなの人権110番など人権相談窓口を設けています。お気軽にご相談ください
インターネットによる人権侵害のほか、様々な人権問題についても相談を受け付けています。
- インターネット人権相談受付窓口
パソコンからの相談はこちら / 携帯電話からの相談はこちら - 全国共通人権相談ダイヤル(みんなの人権110番)
電話:0570-003-110(ゼロゼロみんなのひゃくとおばん)
最寄りの法務局につながります。 - 子どもの人権110番(フリーダイヤル)
電話:0120-007-110(ぜろぜろななのひゃくとおばん)
「いじめ」や虐待など子どもの人権問題に関する専用相談電話です。 - 女性の人権ホットライン
電話:0570-070-810(ゼロナナゼロのハートライン)
女性の人権問題に関する専用相談電話です。
プロバイダ責任制限法
プロバイダ責任制限法(「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」)では、インターネット上で人権侵害にあったときに、プロバイダが負う損害賠償責任の範囲や情報の発信者に関する情報の開示を請求する権利などについて次のように定めています。
1.発信者情報の開示
被害者は、被害者の権利が侵害されたことが明らかであって、損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他開示を受けるべき正当な理由がある場合、プロバイダに対し、権利侵害の情報の発信者(掲示板やSNSなどに書き込んだ人)の氏名、メールアドレス、住所などの情報の開示を請求することができます(第4条1項)。
2.プロバイダの責任の制限など
プロバイダは、インターネット上で他人の権利が侵害されていることを知っていたとき、または他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるときには、被害者に対して損害賠償責任を負うことがあります(第3条1項)。
また、インターネット上の情報を削除した場合に、その情報が他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったときなどには、必要な限度において削除したことについて発信者から責任を問われることはありません(第3条2項)。
プロバイダ責任制限法名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン
プロバイダ責任制限法を踏まえ、業界団体などにより構成される「プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会」が「プロバイダ責任制限法名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」[PDF]を定めています。これにより、被害者からの要請を受けたプロバイダがとるべき行動基準を明確化しています。
最終更新平成24年9月11日
<取材協力:法務省 文責:政府広報オンライン>
「お役立ち情報」では、国の行政施策の中から暮らしにかかわりの深いテーマ、暮らしに役立つ情報をピックアップし、分かりやすくまとめて提供しています。
インターネットを使った人権侵害~迷わず相談 みんなの人権110番 | |
インターネットの世界では、自分の個人情報や誹謗中傷が書き込まれても、書き込んだ相手や対処の方法がわからないなど、どうしたらよいのか悩んでしまうことがあります。個人の名誉やプライバシーを傷つけることは、絶対に許されません。今回は、インターネット上でおこる人権侵害とその対処方法について、ご紹介します。 |
徳光&木佐の知りたいニッポン!~あなたの街の相談パートナー 人権擁護委員 | |
人権擁護と聞くと何か大げさなイメージを持っていませんか?実は今、あなたの周りを取り巻く「セクハラ」や「いじめ」も人権侵害に当たるのをご存じでしょうか?今回は、東京都人権擁護委員連合会会長の油井久仁子さんをお迎えし、どんな小さな人権問題でも相談できる、人権擁護委員の活動を紹介するとともに、相談窓口と相談の方法をお知らせします。 |
- お役立ち情報「ご存じですか? インターネット人権相談受付窓口」
平成19年2月22日から、インターネットによる人権相談の受付を開始しました。差別、いじめ、体罰、虐待など、人権にかかわる問題すべてが相談の対象になります。年齢、性別を問わず、だれでも相談できます。もちろん相談は無料です。一人で悩まず、ぜひ相談してください。
- お役立ち情報「後を絶たない「ネット上のいじめ問題」を防ぎ、子どもを守り育てる」
学校裏サイトや携帯メールを利用したネット上のいじめが社会的な問題になっています。このような状況を踏まえ、国では、「子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議」を開催し、「ネット上のいじめ」対策のため、さまざまな取り組みを行っています。
- 法務省「インターネットを悪用した人権侵害をやめましょう」
- 法務省「インターネット上の書き込みに関する緊急メッセージ」
- 公益財団法人 人権教育啓発推進センター
人権について理解を深めるための様々な情報が掲載されています