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最終更新:2014年5月29日(木) 19時43分

被災地見続けた「だいち」に奇跡、電源失うも返信

 先週打ち上げられた観測衛星「だいち2号」に任務を引き継いだ「だいち」ですが、東日本大震災では大きな役割を果たしました。そして、電池の寿命が尽きるとき、信じがたいドラマが待っていました。

 先週、種子島宇宙センターから打ち上げられたH2Aロケット。搭載した観測衛星「だいち2号」を軌道に投入し、打ち上げは成功しました。「だいち2号」は8年前に打ち上げられた「だいち」の後継機で、災害時の状況把握や地図の作成などに活躍が期待されています。

 先代の「だいち」を運用していたJAXA筑波宇宙センターを訪ねました。「だいち」が撮影した富士山の画像。阿蘇山やグランドキャニオンも立体的に映ります。さらに・・・

 「何が『だいち』にしかできないか。裏側も含めて一度に3Dの地図ができる」(NTTデータ 筒井健さん)

 送られてくる標高のデータを処理すれば、同じ場所をさまざまな角度から自在に見られる3Dの地図も作れます!#$*$J$8$_$N%d%U!<$NCO?^$b!V$@$$$A!W$,;#$C$?$b$N$G$9!#$3$N$[$+!"E_$+$i=U$K$+$1$FN.I9$r;#1F$7!"%G!<%?$r3$>eJ]0BD#$KAw$k$3$H$G!"A%$N9R9T$N0BA43NJ]$KBg$-$JLr3d$r2L$?$7$^$7$?!#

 「冬の間、天候が悪くても、流氷のデータが送られてくるので役立った」(JAXA筑波宇宙センター 内藤一郎室長)

 「だいち」の設計上の寿命は最大5年で、2011年の1月には任務を終えるはずでした。ところが・・・その直後に起きた東日本大震災。一刻も早く被災地の状況を把握するため、JAXAは「だいち」をフル稼働させます。東日本の沿岸部を何度も連続して撮影し、津波の被害を克明に伝えてきました。

 「被害がありそうなところを拡大して見られる」(JAXA筑波宇宙センター 内藤一郎室長)

 すでにバッテリーの電力が限界を迎えていた中で、「だいち」は被災地の状況を上空から記録し続けました。そして、震災から40日後、ついに交信が途絶えました。電力が急激に低下してしまったのです。

 「まだいちるの望みはあるかと思いますが、状況は非常に厳しい」(JAXAの会見 2011年)

 「これ以上の観測は絶望的」と判断したJAXAは、「だいち」に最後の通信をしました。

 「もう交信しなくてもいいです。電源を止めてください。お疲れさまでした」

 それから5か月。流氷の写真を提供してもらっていた海上保安庁は、「だいち」に感謝状を贈ることを決めました。そして、感謝の気持ちをレーザー光に載せて送ることを思いつきました。しかし、電源を失い、位置もわからない相手に、メッセージは届くのでしょうか。

 「狭いレーザーを夜空に向けてあてて、広い砂浜の中の一粒の砂を見つけるような作業になってきます」(海上保安庁海洋情報部 古田明氏)

 奇跡が起きました。「だいち」からの返信があったのです。

 「『上空でずっとみんなを見守ってるよ』っていうふうに言ってくれたんではないかと思います」(海上保安庁海洋情報部 古田明氏)

 今も地球の周りを回り続ける「だいち」。いずれ大気圏に突入し、燃え尽きる運命です。しかし、その使命は、先週打ち上げられた「だいち2号」にしっかりと引き継がれました。

 今も私たちの住む地球を上空600キロから見守り続けています。(29日16:18)

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