ある政党はリーダーがハーケンクロイツ(ナチスドイツのシンボル)に似たまんじの入れ墨をいれ、ある政党は「祖国全土からイスラム教徒を追い出そう」と呼びかける。さらに、ある党の創設者は「移民にエボラ出血熱をばらまけばいい」と言う。

欧州議会には、これまでにない反欧州連合(EU)的、極右的、反移民的な風が流れ込もうとしている。5月25日に行われた選挙の結果、今年はベルギーのブリュッセルにある欧州議会に、極右政党が各国代表として大量に参加する初めての年となったのだ。

そういった政党のほぼすべてがEU懐疑論(ヨーロッパの統合に対して反発する理念や思想)を理念にしている。こうした懐疑派は、イギリス独立党(UKIP)をはじめとする反EUの主流派と合わせると、欧州議会の約3分の1を占めることになる。

各国の極右政党を紹介していこう。

  • 1
    フランスの国民戦線
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    国民戦線は今回の欧州議会選挙で、反移民の方針を訴えて支持を集め、フランスで約25%の得票を得て24議席を獲得した。 マリーヌ・ル・ペン党首は、同党の毒を抜き、ソフト路線に切り替えようと熱心に取り組んできた。彼女は、自身の父親であり党創設者でもあるジャン=マリー・ル・ペンにさえも矛先を向けている。そのジャン=マリー・ル・ペンは先月、「エボラウイルス」なら欧州の移民問題を「3カ月で」片付けてくれるだろうと発言したばかりだ。同氏はこれまでも、フランスの差別禁止法の下で何度も有罪判決を受けているほか、ナチスのガス室は「第二次世界大戦の歴史では些細なことにすぎない」という発言でも有名だ。
  • 2
    ドイツ国家民主党
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    ドイツ国家民主党(NPD)は、 欧州議会選挙で得票率1%を得て1議席を獲得。欧州議会に初進出を果した。同党は、基本政策として移民の受け入れ停止を訴えており、「シンティ・ロマ人ではなくお年寄りのための予算を」や「ボートは満員だ(移民を受け入れる余地はない、という意味)」というスローガンを掲げて選挙活動を繰り広げたほか、ヨーロッパは「白人のための大陸」だと公言してはばからない。また、ナチスの思想であった「国家社会主義」を垂れ幕に掲げて行進したこともある。人種差別主義ならびに反ユダヤ主義であると批判されている。
  • 3
    ギリシャの「黄金の夜明け」
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    ギリシャの超国家主義政党「黄金の夜明け」は、暴力的な行動で有名だが、選挙に備えて兵士用ブーツを脱ぎ捨て、スーツに着替えた結果、欧州議会で初の議席を獲得した。 党の広報担当者はまんじの入れ墨を入れているほか、かなりの数の党員が、犯罪組織の一員だとして逮捕・服役中だ。また、ギリシャ国内のモスクやユダヤ教の礼拝堂シナゴーグ、墓地などには、同党のスローガンがなぐり書きされている。 2012年5月に行なわれたギリシャ議会総選挙では、「けがれた国を一掃しよう」をスローガンに掲げ、「ギリシャ人限定」で食糧配布を行なった。党の広報担当者が議会で、『シオン賢者の議定書』(1900年前後に書かれたとされる「ユダヤ人が世界征服を企んでいる」という内容の書で、ナチスをホロコーストに導いたと言われている)の一節を引用して発言したこともある。黄金の夜明けは現在、ギリシャで第3位の政党になっている(日本語版記事)。
  • 4
    真のフィンランド人
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    フィンランドの反EU、大衆主義政党「真のフィンランド人」は、欧州議会選挙で予想したほどの結果をあげられなかったものの、2議席を獲得した。そのうちの1人ジェームズ・ヒールビサーリ議員は2011年、自身のブログに、イスラム教徒に関する発言を書き込んで罰金刑を受けている。また、もう1人は、フィンランド独立記念日を祝う舞踏会への出席を、「同性カップルは見るのも嫌だ」と言って断わっている。
  • 5
    デンマーク国民党
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    デンマーク国民党」は、27%近い得票率を獲得し、欧州議会の議席を2倍に増やした。党首は元介護士のピア・キェアスゴーで、ムスリムに対する差別的発言を繰り返している。
  • 6
    オランダの自由党
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    オランダの「自由党」は、欧州議会で4議席を維持したが、党首であるヘルト・ウィルダースは、親EU政党が上位を占めた選挙結果にがっかりしているはずだ。同党首は、オランダへのイスラム系移民受け入れ全廃、ならびに現在オランダに住んでいるイスラム系移民の送還を訴えている。同党は、2010年のオランダ下院選挙で第3党になっている。
  • 7
    ハンガリーの「ヨッビク」
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    ハンガリーの「ヨッビク」(右翼青年協会)は、欧州議会で最も極右色を明確にしている政党のひとつだ。今回も2009年の欧州議会選挙と同様に3議席を獲得し、得票率は14.7%だった。同党は、ハンガリー在住ユダヤ人に対し、ユダヤ人名簿への署名を要求している。
  • 8
    オーストリア自由党
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    オーストリア自由党は、党の基本政策である反移民を訴えて議席数を大幅に増やし、全体のおよそ5分の1の票を集めた。欧州議会の議席数は2から4に倍増し、フランスの国民戦線と手を組む考えを示している。
  • 9
    イタリアの北部同盟
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    イタリアの「北部同盟」は、イタリアで6%の得票率を獲得した。同党に所属するある元欧州議会議員はかつて、「アフリカが偉大な人物を輩出したことがないのは、どんな百科事典を見てもわかる」と発言したことがある。
  • 10
    イギリス独立党に負けたイギリス国民党
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    ニック・グリフィンが党首を務める「イギリス国民党」(BNP)は、欧州議会の議席を失った。同党で唯一欧州議会議席を持っていたアンドリュー・ブロンズは離党していた。 グリフィン党首は、イギリス国民党こそ本物の「人種差別主義」政党であり、イギリス独立党(UKIP:欧州連合からの脱退を主な目的としている)に投票した人は勘違いをしたのだと語っている。なお、Huffington日本語版過去記事では、イギリスの極右団体「イングランド防衛同盟」(EDL)の画像集も紹介している

[Jessica Elgot(English) 日本語版:遠藤康子/ガリレオ]

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