投資で儲けたいなら、毎日のチェックは逆効果

2014.05.29 21:00

投資


株や個人年金など、自分で監視できる長期的な投資をなんらかの形でしている方は、毎日欠かさず投資に目を光らせていたいと思っているのではないでしょうか。ですが、本当に大きな儲けを得たいなら、あまりしょっちゅうチェックしないほうが良いようです。

           

カリフォルニア大学デービス校とカリフォルニア大学バークレー校の2人の教授(専門はいずれも財政学)が実施した研究によれば、取引の回数が多い世帯ほど、投資の利益率の平均は低いそうです。頻繁に取引するリスクは以前から指摘されていましたが、今回の研究では、市場に注意深く目を光らせている人ほど、「自分はうまくやれる」と思い込む(その結果、ますます頻繁に取引するようになる)傾向が強くなることが明らかになっています。問題は、「実際にはうまくやれない」という点です。


オンライン環境は認知バイアスを助長し、それが過信につながります。そうしたバイアスの一例が、「知識の錯覚」です。これは複数の研究でわかっていることですが、多くの情報を手に入れれば入れるほど、実際に予測の精度が上がるスピードよりもはるかに急速に、「結果を予測できる」という自信が大きくなってしまうのです。オンライン投資家は膨大な量のデータにアクセスできます。このデータのせいで、「自分には優良株を選べる」という誤った自信が生まれる可能性があります。

残念ながら、あるタスクに関するデータが、そのタスクに実際に関係しているとは限りません。例えば、ルーレット盤で次に出る数字を予測したい場合のことを考えてみましょう。そのルーレット盤で過去に出た数字の履歴をすべて知ることは可能です。そのルーレット盤がどこで、どのように、どんな規格で製造されたかについて、多くの情報を集めることもできます。ですが、だからといって次にどの数字が出るのかはわかりません。

膨大な量の市場データを集めたとしても、たいていの投資家の場合、ルーレット盤の数字を当てるのと同程度の確率でしか、銘柄を見極められるようにはなりません。もちろん、それでも一部の投資家は成功するでしょう。そして「どの銘柄が儲かるか、自分には最初からわかっていた」と確信するはずです。その一方で、失敗した投資家は、「自分だって正しかった...でも今回は不運だった」と確信するのです。


取引の手数料だけをとっても、頻繁な取引は充分にリスキーなものといえます(自分の買った時の価格よりも株価が上がった、というだけでは不十分。売買の手数料を上回るだけの儲けが出なくてはいけないのです)。それに、プロのデイトレーダーでもない限り、金融市場での荒稼ぎは難しいのです。もちろん、健全な利益率の投資を選択するために、きちんと下調べをするのは良いことです。ですがそのあとは、大暴落を避けるためのチェック以外は必要ありません。「毎日チェックして、儲けをできるだけ大きくしてやろう」とは考えないほうが良いでしょう。


Why Do Investors Trade Too Much|via Daily Worth

Eric Ravenscraft(原文/訳:梅田智世/ガリレオ)
Photo by J R.

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