December 14, 2009
アフリカの東、マダガスカル島で、絶滅したピグミーカイギュウの新種の化石が発見された(画像左上は頭がい骨)。8000万年前に大陸から分離したと考えられるマダガスカルは哺乳類の化石記録が乏しく、その進化についてはまだ謎が多いという。
アフリカの東、マダガスカル島で、絶滅したピグミーカイギュウの新種の化石が発見された(画像左上は頭がい骨)。8000万年前に大陸から分離したと考えられるマダガスカルは哺乳類の化石記録が乏しく、その進化についてはまだ謎が多いという。
研究を率いた、モントリオールにあるマギル大学のカレン・サモンズ氏によれば、「証拠となる化石がないため、何が起きていたかがまったくわかっていない長い空白期間がある」という。
今回発見された約4000万年前の頭がい骨と数本の肋骨から存在が確認された新種のカイギュウは、学名エオテロイデス・ランボンドラーノ(Eotheroides lambondrano)と名付けられた。現地のマラガシ語で“川のイノシシ”を意味する、ジュゴンの呼び名にちなんだ名前だ。カイギュウ類の現生種にはマナティとジュゴンがいるが、ピグミーカイギュウの体長は約2メートルで、体長2.4~3メートルの今のジュゴンよりは小さかったようだ。
ピグミーカイギュウは、陸上生活をしていた原始の哺乳類から現在の海に生息するカイギュウ類へ進化する過程の“ちょうど中間”に位置づけられる動物だった可能性があるとサモンズ氏は話す。
また、最も近い系統の生物が現在のインドやエジプトに生息していた可能性があるという点でもユニークであり、そのためマダガスカルという場所がますます重要な意味を持ってくると、今回発表された研究は述べている。
サモンズ氏は「この化石の発見により、今まで空白だった時期だけでなく場所についても、当時の状況を垣間見ることができた。マダガスカルではすでに珍しい動物が数多く発見されているが、このように遠く離れた場所にルーツを持つ可能性があるこの新種についても、わずかながら理解が進んだといえる」と語る。
この研究は、ナショナル ジオグラフィック協会の研究・探査委員会が研究費の一部を助成したもので、12月12日付「Journal of Vertebrate Paleontology」誌で発表された。
Illustration courtesy Karen Samonds