東京レター
東京で暮らす外国人たちが、手紙スタイルでつづる「東京生活」
【政治】集団的自衛権もう拡大 首相答弁 その時 対抗する「安保懇」始動安倍晋三首相は二十八日の衆院予算委員会で、武力で他国を守る集団的自衛権の行使容認に向け、政府が与党に検討を求めた十五の具体的事例のうち、邦人輸送中の米艦防護について「私は一言も米国以外の船はだめと言ったことはない」と述べ、米国以外の船籍でも邦人を輸送する場合は護衛対象に含む考えを明らかにした。与党は政府が示した具体的事例に沿って協議に入ったが、首相の発言は検討対象に示した事例以外にも、集団的自衛権行使の対象が広がる可能性に言及したものだ。 首相は予算委で、米国以外の船籍を護衛対象に含める理由を「どこの国の船であれ、避難する邦人の命を守る責任を負っている」と説明した。また、邦人輸送を理由にした米艦防護も「避難計画は米軍とともに立てる共同作戦。日本人が乗っていない船は護衛できないということはありえない」と述べ、邦人が乗っていない米艦でも自衛隊の護衛対象とする考えを示した。 その他の事例では、ペルシャ湾での機雷掃海への参加について、機雷で原油輸送に支障が出る事態を想定し「わが国の商船隊の95%は外国船籍。攻撃を受けた場合は個別的自衛権で対処できない」と述べ、行使容認の必要性を強調した。 また自衛隊の海外活動に際し、憲法が禁じる「武力行使との一体化」について「何が一体化する行為か明確にすることが課題。非戦闘地域、後方地域の概念も含めた検討が必要」と、判断基準の見直しを目指す考えを明らかにした。 ◆「解釈改憲は立憲主義を破壊」集団的自衛権の行使を認める解釈改憲に反対する「国民安保法制懇」が28日、設立記者会見を国会内で開いた。会見は、衆院予算委員会で安倍晋三首相が行使容認を唱えたのと同じ時間帯で、委員らは「解釈改憲で行使を可能にすることは立憲主義の破壊に等しい歴史的暴挙だ」と首相を批判した。 法制懇は樋口陽一東大名誉教授ら憲法、国際法、安全保障の重鎮や専門家12人が安全保障への考えの違いを超え「解釈改憲は許されない」との一点で一致。会見に6人が出席した。 小林節慶応大名誉教授は、首相が「イラク戦争、湾岸戦争に武力行使を目的に参加することはない」と発言していることを「放置するとわが国の安全保障に重大な影響が出ると首相が考えれば、どの場合でも武力行使できる。歯止めでも何でもない」と批判した。 PR情報
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