<日朝局長級協議>合意至らず 再調査ハードル上げる北朝鮮
毎日新聞 5月28日(水)21時28分配信
3日間にわたってスウェーデンのストックホルムで行われた日朝外務省局長級協議は、拉致被害者の再調査について最終合意に至らなかった。「拉致問題の全面解決」を掲げて誕生した安倍政権が拉致問題の進展を急ぐのに対し、北朝鮮は在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部ビルの競売回避を求めるなど、再調査実施に向けて要求のハードルを上げている。
「北朝鮮側は拉致問題について議論を拒否する姿勢ではなかった。日本の問題提起に対し、真剣な議論が行われた」。伊原純一アジア大洋州局長は28日の協議後、記者団にこう説明した。拉致問題を巡り、北朝鮮は今回協議でも3月末の協議に引き続き、柔軟姿勢を示したものとみられる。
ただ、北朝鮮が再調査の条件に掲げる制裁解除のタイミングを巡って隔たりはある。日朝は2008年8月、再調査実施と同時に人的往来などの制裁解除を行うことで合意したが、その後、北朝鮮は調査開始を見送った。北朝鮮側は08年合意と同様に「調査実施時の制裁解除」を求めたものとみられるが、日本政府筋は28日、「北朝鮮が再調査成果を出してこないと制裁を解除するのは難しい」と強調。政府は協議内容を踏まえて対応策を検討する。
ただ、日朝関係者は「拉致問題の成果を得ようと焦る安倍政権を見て、ハードルを上げている」と分析している。北朝鮮側は協議直前、朝鮮総連中央本部ビルの競売問題を「主権の問題」と反発を強めた。加えて今回協議では貨客船・万景峰号の入港禁止や人的往来の制裁の解除も強く求めたとみられる。万景峰号の入港を日本側に認めさせ、本国にモノや資金が入れば、本国も潤い、活動が停滞している総連の活力も取り戻せる−−との計算も働いたためで、今後も要求水準を上げる可能性がある。
北朝鮮側の狙いについて核ミサイル問題を念頭に「今回、日本と協議したこと自体が、日本と米国、韓国の関係を揺さぶる戦術」(北朝鮮情勢に詳しい関係者)との見方もある。政府筋は「拉致問題を進めるための制裁解除は、米国も了承している」と反論するが、日本側が拉致問題解決を優先して北朝鮮と急速に接近すれば、日米韓3カ国の連携にも影響を与えかねない。【北京・西岡省二、ストックホルム福岡静哉】
最終更新:5月29日(木)2時11分
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