「『ガレキとラジオ』やらせ問題、当事者の70代女性の代理人弁護士との電話対話(4月9日)」
メディアの話
既に紙媒体の記事では書いたが、ドキュメンタリー映画『ガレキとラジオ』に“やらせ”があったと告発した朝日新聞の記事(3月5日付、同21日付)に対して、“やらせ”をさせられたと報じられた70代の女性の代理人として朝日新聞に公開質問状を送った弁護士・小関眞氏(仙台中央法律事務所)に、私は去る4月9日(水)夕刻、電話で問い合わせてみた(録音はせずメモをとりながらの取材であったことは予めお断わりしておく)。以下、その際のやりとりを紹介しておこう。
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――朝日新聞側からは「公開質問状」に対して今のところリアクションはあるのでしょうか?
「会見の申し入れはありました。朝日新聞の社会部デスクと、記事を担当された高津(祐典)記者がこちらに来られるとのことです」
――女性に取材した伊藤(喜之)記者は?
「それは(同席は)ないそうです」
――朝日の報道が「やらせ」と報道したことについてはどうですか? ラジオが聴こえない仮設住宅に住む女性に、CDに録音したラジオ番組を聞かせながら撮影したことは製作者側も認めていますし、作品の後半では女性が仮設住宅の中のラジカセの前で「いつもラジオを聴いております」とリクエスト葉書を書くシーンが出てきますが。
「いや、仮設住宅ではラジオは聴こえませんが、その女性も勤め先でラジオは聴いていたんです。仮設住宅の自宅でCDに録音されたラジオ番組を聴いていたことは事実ですが、本人には『演技』とかいう意識はまったくなかった。撮影班の人たちとも親しくしていたそうですし、朝日の記事に書かれた『制作者の求めに応じて演技をしてしまったことに罪悪感を抱き、苦しんでいる』なんていうことはなく、逆に朝日の記者が取材に来た際に軽口で言ったことから朝日にああいう報道が出て、映画が上映中止になってしまったことに心を痛めています」
――そもそも朝日の伊藤記者とその女性との間では、どういうやりとりが行われていたんでしょうか。
「伊藤さんが最初に3月11日に寄せた特集の取材として、その女性のもとに取材に行き、記事が出た後には掲載紙を直接持っていったそうです。南三陸町では朝日新聞をとっている人なんて少ないですからね。それが今回の『やらせ』告発の記事が出た3月5日以降は電話連絡も取れない状態とのことです。南三陸町の役場職員の方々もあの映画にはかなり協力したのにこんなことになって残念がっているようです。朝日には『町立図書館は、所蔵する映画のDVD5枚の貸し出しを中止した」と書かれましたが(3月21日付)、あれこそ伊藤さんの『やらせ』じゃないかと(苦笑)」
――どういうことですか?
「つまり伊藤さんが女性との話から『そういうことがあった』と知って、南三陸町側に『そういう話があるんですよ。貸し出していいんですか?』というようなことを言ったらしい。そこから事態を知った町長と対立する議員さんが町議会でこの件を質問した、ということもあったそうです」
――地元の南三陸町の人たちはこの件についてどういう受けとめ方をしているんでしょうか?
「さっきも言ったように南三陸町では朝日新聞ってほとんど読まれていないんですよ。だから東京などでどれだけ大きな問題になっているかは、みなさんあんまり詳しく知らないんじゃないでしょうか」
――一方で製作者側が報道を受けて即座に「上映中止」を決めたことについてはどう思われますか?
「個人的には、私だったらああいう対応はなかったんじゃないかな……とは思います。ただ、朝日さんにああいった記事を書かれたことでそういうことになってしまったんじゃないかとは思うのですが」
――役所広司さんが報道後即座に公式ブログで「今後二度と上映されるべきものではありません」と書いたことも大きかったのではないでしょうか。
「そうですね。しかし、あれも本当は被災者の方々のことを考えて言われたことではないかと思うんですが……」
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その後「会見」は行なわれたようだし、既に書いたように地元の南三陸町側からも「再上映希望声明」が出ている。
はたして朝日新聞は(特に70代女性に直接取材した伊藤喜之記者は)、そして映画の監督を務めた梅村太郎氏(博報堂社員)と塚原一成氏、企画・制作を務めた博報堂&博報堂プロダクツ、さらには、ボランティアでナレーションを務めつつ、報道が出た直後に「この映画は、今後二度と上映されるべきものではありません」と言った役所広司氏や、映画を後援した観光庁・宮城県・南三陸町、そして出演者を含めた地元の方々や、現場で製作にあたったスタッフの方々、さらにはこの件を報じてきた私はこれからどのような反応をしていくことになるのか。ご注目いただきたい。

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