福島第1原発事故:全町避難の楢葉 来年春以降に帰還

毎日新聞 2014年05月29日 11時40分(最終更新 05月29日 16時40分)

福島第1原発周辺の避難指示状況の地図
福島第1原発周辺の避難指示状況の地図

 東京電力福島第1原発事故で避難指示解除準備区域に指定された福島県楢葉町の松本幸英町長は29日、同県いわき市の仮庁舎で記者会見し、2015年春の帰還を目指すと発表した。今年4月に避難指示が解除された田村市都路地区に続く判断。避難区域内で全町避難した自治体としては、初の帰還表明となる。

 松本町長は「帰還に最低限必要な環境は整いつつある。長期化する避難生活で心身の不調を訴える町民も増えている。さらなる避難の長期化は避けたい」と述べた。6月に「帰町準備室」を新設し、元の庁舎で一部業務を再開する。

 原発事故で20キロ圏内の警戒区域となった同町は12年8月、年間積算線量が20ミリシーベルト以下の避難指示解除準備区域に再編され、国の除染は今年3月末にほぼ終了した。有識者でつくる町の除染検証委員会は4月、「県内の居住可能な他地域と同等の放射線量になった」として、希望者の帰還は可能と評価。町は帰還時期までに、道路などのインフラ整備をある程度達成できると判断した。

 ただ、町や町議会が国に強く求めている▽町の7割を占める森林の除染▽高濃度の放射性セシウムが沈殿している木戸ダム湖底の除染▽ネズミなどの小動物の糞尿(ふんにょう)被害が深刻な家屋内の除染やクリーニング−−などについて、国から明確な回答はない。4月下旬から県内外で開催した町民説明会では、早期帰還を求める声は上がっておらず、町民の不安を払拭(ふっしょく)できないと判断すれば「時期を遅らすこともありうる」(松本町長)としている。

 町の人口は約7500人。町は昨年5月策定の第2次復興計画で、帰還時期を「14年春に判断する」としていた。【栗田慎一】

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