ミュジカミリオン/アーリー・ミュージック・プロジェクト
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 ここでは当方へのお問い合わせが非常に多いにもかかわらず、レギュラー商品に含まれていない楽器について説明させていただきます。
  

バグパイプについて

 当方ではバグパイプ類の取り扱いは原則としてすべて中止させていただいております。主な理由は以下の通りです。

1. 基本的にすべて不安定な不良品
 特別な知識と経験、技術がなければメンテナンスが不可能で、音も出ません。これをうまくコントロールした場合にのみ、演奏可能となります。初心者が購入していきなりマトモな音の出るバグパイプはないと思ってください。

2. 種類が多すぎる
 殆どの方はご自分の探していらっしゃるバグパイプの正式な名称や必要な装備をご存じありません。当方から初心者用のセットをご紹介しても、納得していただけない場合がほとんどでした。

3. 品質の良い物は入手が困難
 ご注文いただいても入荷まで長期間(数年?)かかりますし、いつ入荷するのかわかりません。外国為替の変動の影響で、価格がいくらになるのかわかりません。品質の悪い物なら比較的スムーズに入荷します。

4. 品質のチェックが不可能
 入荷したバグパイプが演奏不可能な不良品であっても、当方にはわかりません。ただ単に、専門的なメンテナンスを必要としているだけかもしれません。キャンセルも返品もできません。

5. アドバイス不可能
 メンテナンスや演奏法に関して、当方からは一切アドバイスができません。

6. 指導者が居ない
 基本的に指導者は居ないと思ってください。すべて独学で学び、研究するつもりで始めてください。

 これらの問題点をすべてご承知のうえで「それでも欲しい」という場合のみ、当方にご相談ください。

 テレビ番組などでタレントさんがバグパイプを吹くという企画が過去に複数あり、実際に放送もされましたが、それらはすべて優秀な専門家が2週間以上「つきっきり」で特別に指導したものです。リードの調節等々、メンテナンスはすべて専門家が行なっています。そのような専門家の絶大な協力が無ければ、いずれの企画も失敗していたことは明白です。
 また、これもひとつ重要な点なのですが、「タレントさんの根性」をナメてはいけません。彼らの集中力とその持続力には敬服すべきものがあります。一般の音楽教室等へ行っても、彼らほどの人達はまったく存在しません。それに、2週間以上もバグパイプのために有給でスケジュールを費やすことが可能な方がどれほどいるでしょうか?
 つまり、放送されたテレビ番組のような事態は、一般の方々の周囲には残念ながら、まず起きる可能性は無いということです。「自分にもできそうだ」と思われた方は、複数の根本的な大問題を見失っていることに気付く必要があります。

【情報サイト】

 中世・ルネサンス・スタイルのバグパイプに関しては、下記のサイトをご参照ください。

Atelier de la cornemuse

 アイルランドのイーリアン・パイプスに関しては、下記のサイトを参照してください。

S.Z.B.E. Whistle Japan

 海外でも活躍しているスコティッシュ・ハイランドの東京パイプバンドの情報はこちらです。

Tokyo Piping Society

  

ハーディ・ガーディについて

 この楽器も人気があり、お問い合わせも多いのですが、扱いにくさはバグパイプの類と同様で、とてもお勧めできる楽器ではありません。
 この楽器を始めるのには「出家」して「修行」の道に入るくらいの覚悟が必要です。今現在の生活をすべて捨て、残りの人生のすべてをこの楽器のために費やすつもりがありますか? 仕事をやめ、他の楽器をすべて捨てて、日夜、ハーディ・ガーディの面倒をみながら生活するわけです。それでも「欲しい!」という人は、以下の説明を読んで覚悟を決めてください。

【メンテナンス地獄】

 そもそも複数の弦を木製のホイールでこすって音を出すというところに無理があります。ヴァイオリンなどの擦弦楽器の微妙な弓のタッチを機械的に一定にしてしまって、きれいな音が出せるわけがありません。それでもCDなどで聴くハーディ・ガーディの音はきれいだったりするのですが、これはその奏者のメンテナンスの技量が高いからなのです。具体的にはホイールと接触している弦の部分に綿を巻いたり、ホイールに適度に松ヤニを塗ったり、ブリッジで弦の高さを微妙に調節したりします。これだけでもかなりの経験とコツが必要です。
 弦が1本だけならまだ何とかなりますが、実際には3〜6本の弦の状態をすべて同時に揃えておかなければ演奏できないのです。3本目の弦の調子を整えたところで1本目の弦の調子が崩れ出したりするのを想像してみてください。
 弦を押さえる左手の役目は鍵盤で行ないます。これがけっこう不自由で不正確です。調整しているうちにタンジェント(旗の形をしたパーツ)を壊してしまうこともあります。壊れたら、かわりのタンジェントは「自作」してください。梅雨時などは、鍵盤が動かなくなってしまいます。そんな時は鍵盤のバーや鍵盤用の穴などを自分で削ってください。但し、削る場所や削り具合いを誤ると、鍵盤にガタが出てしまいます。
 湿気などによる変形でホイールの動きにふらつきが出てきたら、最悪の場合には本体そのものの買い換えが必要となります。
 とにかく、ある程度状態が安定するまで、できるだけ頻繁に、赤ん坊を育てるようなつもりでハーディ・ガーディのご機嫌を伺い、調整に調整を重ねて面倒をみていく必要があります。1週間放置してしまうと、それまでの数週間の努力が水の泡、ということもあるでしょう。
 すべては自分自身で行なう必要があります。専門家に頼み込めば調子を整えてくれることもあるかもしれませんが、その状態は長くは続きません。一緒に生活している人に面倒をみてもらわないと、ハーディ・ガーディは言うことを聞いてくれないのです。

【音がデカイ!!】

 ハーディ・ガーディの音はかなり大きいものです。他の古楽器やトラッド系の楽器と比べても例外的に大きく、充分、近所迷惑になります。しかも調整不良の音は非常に聞きづらいものです。調整できるようになるまで、演奏できるようになるまでも大変ですが、それ以後も練習場所は選びます。
 シンプルな箱形のシンフォニー・タイプなら多少おとなしくなりますが、それでもかなりの音がします。他の楽器とのバランスを取るのは難しいと思われます。稀に音の小さなものもありますが、これはあくまでも例外的なものです。

【シンフォニー】

 一般的に言って、シンプルなシンフォニーは本格的なハーディ・ガーディよりも格段に扱いやすいものです。これは弦の数が少なく、鍵盤の数が少なく、音がやや小さく、大きさも小さいためです。それぞれのファクターが増してくると、足し算ではなく、かけ算的に複雑になってくるわけですから、この差はかなり大きいと思って間違いありません。安いというのもメリットです。挫折しても経済的・精神的なダメージが小さくて済むわけです。但し、シンフォニーは中世の楽器ですからほとんどはダイアトニックな音階の限られた音域しかなく、最初からトラッドやバロックなどの演奏が目的の人にはお勧めできません。

【テクニック】

 ハーディ・ガーディの演奏を見ていると、実に簡単そうに見えるかもしれません。事実、古楽系の演奏家の多くは基本的なテクニックだけでごく単純に演奏しています。しかし、実際には非常に奥の深い楽器なのです。最も厄介なのは「トロムペッテ」によるリズムのアクセントの付け方です。トラッド系のCDを聴いていると「ギ、ギ、ギギ、ギー、ギー」などの細かい付加音によるアクセントを耳にすることがありますが、これはトロムペッテの微妙な調整をしたうえで、右手のハンドルの回し方で出しているのです。左手で普通にメロディを演奏している最中に、右手で異なるリズムのアクセントを出していたりするのです。シンフォニーにはこの厄介なトロムペッテはありません。

【参考図書】

 ハーディ・ガーディやシンフォニーの演奏を始める場合には、以下の2冊の本は必読です。

 Method for the Hurdy Gurdy / D. Muskett
 主に演奏面での入門書です。英文。

 The Hurdy-Gurdy - adjustment & maintenance
 日常的なメンテナンスの本です。英・独・仏文。

【パイオニア?】

 もしもあなたの努力が実って、ハーディ・ガーディが弾けるようになったら、それはけっこう「事件」かもしれません。我が国におけるその道での第一人者の仲間入りをしてしまうわけです。それを目標に頑張ることもできるでしょう。

 現実的なところでシンフォニーで挑戦するというのも賢い選択かもしれません。ハーディ・ガーディを不器用に扱っているよりも、シンフォニーを優雅に演奏している方が印象はずっと良いはずです。

【情報サイト】

 ハーディ・ガーディに関しては是非下記のサイトも参考にしてください。

Vielleux in Thailand

  

ライアについて

 結論から言ってしまうと、当方では現在のところライア(リラ)は取り扱っておりませんし、取り扱う予定もありません。また、ライアは特定の楽器を指す名前ではありません。当方にお問い合わせをされる方は多いのですが、すべての方がそれぞれに異なったライアを探しておられるようです。当方でもこの世にライアという楽器が何十種類あるのかわかりません。百以上かもしれません。

 ハッキリ言ってライアをお探しの方の中には勉強不足の方が非常に多いようです。ご自分でお探しのものがどんな楽器なのか、どんな音楽を演奏されるのか、具体的なアイデアをお持ちの方はほとんどいらっしゃいませんでした。

 ライアの歴史については楽器史の本を参考にしてください。ハープの歴史の本にライアについての記述を見つけることも多いのですが、ハープとライアは根本的に異なる別の楽器です。また、当方には現代のライア(モダン・ライア)についての資料はありません。

 某映画の主題歌の伴奏で有名になったライアは、ドイツの「シュタイナー」という教育機関が独自に開発・設計して製造しているもので、他の歴史上のライアとはまったく異なる特別な楽器です。当方を含め、一般の楽器店では入手できません。

  
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