STAP細胞:論文1本撤回へ 小保方氏ら著者11人同意

毎日新聞 2014年05月29日 02時30分

小保方晴子・理化学研究所研究ユニットリーダー=大阪市北区で2014年4月9日午後、三浦博之撮影
小保方晴子・理化学研究所研究ユニットリーダー=大阪市北区で2014年4月9日午後、三浦博之撮影

 理化学研究所のSTAP細胞論文問題で、2本の論文のうち不正と認定されていない論文について、小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダーを含む11人の著者全員が撤回に同意し、英科学誌ネイチャーに撤回を申請したことが28日、理研関係者への取材で分かった。小保方氏が論文撤回に同意したのは初めて。一方で、STAP細胞の存在を報告した論文については、理研が撤回を勧告しているが、小保方氏は同意していない。

 1月30日付でネイチャーに掲載されたSTAP細胞論文は2本の構成で、今回撤回される論文はSTAP細胞から作られた幹細胞の性質などを記述したもの。

 小保方氏の代理人の三木秀夫弁護士は28日、この論文について小保方氏を含む3人の責任著者の一人である若山照彦・山梨大教授が理研在籍時に主導したと主張。その上で「『若山教授が撤回を希望するなら反対しない』という消極的な同意。撤回理由も明確な説明を受けていない」と述べた。更に「大切なのはSTAP細胞の存在を報告した論文。(同意した論文は)『主・従』の従にすぎない」とした。

 三木弁護士や理研関係者によると、撤回は若山教授が今月中旬に呼び掛け、小保方氏は今週、もう一人の責任著者の笹井芳樹・理研発生・再生科学総合研究センター副センター長を通じ「反対はしません」と電子メールで回答し、著者全員の意向がまとまったという。

 撤回される論文は今月21日以降、複数の画像などに疑義があると毎日新聞などが報じ、外部識者による理研の改革委員会が22日に理研に調査を求めた。理研は当初「著者が撤回しなければ調査する可能性がある」と説明したが、26日には「著者間で撤回に向けた協議が進んでいる」と調査しない方針を決めた。ある専門家は「今回の撤回同意は不正の調査逃れだと思われても仕方がない」と話した。撤回を呼び掛けた若山氏は、取材に「撤回できたとしても不正の有無は調査されるべきだ」と話した。【須田桃子、斎藤広子、吉田卓矢】

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