日朝局長級協議:拉致再調査 合意に至らず協議継続に

毎日新聞 2014年05月28日 18時35分(最終更新 05月29日 00時14分)

 【ストックホルム福岡静哉】スウェーデンのストックホルムで開かれた日本と北朝鮮との日朝外務省局長級協議は28日午前(日本時間同日夕)、拉致問題などについて引き続き政府間協議を続けることで一致し、3日間の日程を終えた。日本側は拉致被害者や北朝鮮による拉致の可能性を否定できない特定失踪者も含めた再調査の実施を要求したが、最終合意には達しなかったとみられる。今後は、北朝鮮が求める経済制裁の解除など再調査実施に向けた条件を巡って協議する。

 協議は26日から3日間の日程で行われ、最終日の28日は約1時間行われた。

 拉致問題を巡り、北朝鮮側は中国・北京で3月末に行われた前回協議で再調査の実施に制裁解除などの条件付きで柔軟な姿勢を示した。しかし、伊原純一アジア大洋州局長は28日の協議後、記者団に「拉致問題をはじめとする日本人に関わる諸問題を提起し、真剣な議論を行った。北朝鮮側は拉致問題の議論を拒否する姿勢ではなかった」と述べるにとどめ、具体的な内容については言及を避けた。

 一方、北朝鮮側は協議で、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部ビルの競売を認めた裁判所の判断に懸念を表明。日本側は「司法手続きに政治・行政は関与できない」と理解を求めたが、北朝鮮の宋日昊(ソン・イルホ)朝日国交正常化交渉担当大使は協議後、「総連本部問題は人民全体が関心を持ち、必ず解決しなければならない」とけん制した。

 また、日本側は核ミサイル開発の即時中止や、北朝鮮軍が22日に韓国軍艦艇付近を砲撃したことなどを挙げ、地域の緊張を高める行動を取らないよう自制を要求。第二次世界大戦中に北朝鮮で亡くなった日本人の遺骨収集事業を巡っても意見交換した。伊原氏らは28日午後(日本時間同日夜)、スウェーデンを出国し29日午前に帰国。安倍晋三首相らに報告する。

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