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 働いた時間に関わらず賃金が一定になる働き方をめぐり、田村憲久・厚生労働相は27日、「(低所得の)ワーキングプアの人が対象になることはありえない」と述べた。収入が一定以下の人は対象外にするとの考えを示したものだ。政府の産業競争力会議が成長戦略の一環として検討を続けているが、幅広い働き手が「残業代ゼロ」で長時間労働を強いられるとの懸念が広がっていた。

 閣議後会見で明らかにした。安倍政権は成長戦略として、時間ではなく成果にお金を払う働き方を検討している。田村氏はこれについて、収入の乏しい人は対象外にすることで成長戦略担当の甘利明・経済再生相と合意したという。甘利氏も午前中の会見で「極めて所得の低い人があてはまるとは思っていない」と話した。

 ただ具体的な年収水準について田村厚労相は「アベノミクスで所得が増えることを勘案しながら検討する」と述べ、明言しなかった。現行の制度では従業員を1日8時間を超えて働かせると企業が割増賃金を払う義務がある。産業競争力会議は、この規制を外すことを検討している。第1次安倍政権では年収900万円以上の労働者を対象に検討されたが、「過労死を招く」などの世論の反発を受け、断念した。