安倍晋三首相は28日午前の衆院予算委員会の集中審議で、集団的自衛権について「切れ目のない防衛体制をつくり抑止力を高め国民の命と財産をより確かに守ることにつなげていきたい」と述べ、行使容認に理解を求めた。憲法解釈を変更した場合でも「時の内閣が個別具体的な事態に即して、諸般の要素を総合的に判断しながら慎重に決断していく」と強調した。
首相が15日に行使容認に向けた基本的な方向性を示した後、初の本格的な国会論戦。首相は北朝鮮の核・ミサイル開発などに言及し「日本を巡る安全保障環境は厳しさを増している。変化への対応は私たちの責任だ」と訴えた。「憲法解釈として集団的自衛権の行使を全面的に容認する結論にはなり得ない」と語った。自民党の中谷元氏への答弁。
首相は集団的自衛権の行使が必要な例として「近隣国から避難する邦人輸送している米艦の防護」に加え、邦人が乗っていない「武力攻撃を受けている米艦の防護」を挙げた。
公明党の遠山清彦氏は自衛権の行使は国民の生命、自由、幸福を守るためであり、邦人が乗っていない米艦の防護はあたらないと指摘。
首相は邦人輸送中の米艦防護は「個別的自衛権に入らないというのが明確な政府の立場だ」としたうえで「邦人が乗っていない可能性を前提に米国と避難計画を立てることは現実的でない」と反論。「一言も米国の船以外はダメだと言ったことはない」と述べ、米艦以外も対象とする可能性に触れた。
首相は海外で他国の「武力行使と一体化」する行為は憲法で禁じられているという見解を継承すると表明。「何が武力行使と一体化する行為なのか明確にすることは今後の検討課題だ」と述べ、自衛隊による多国籍軍などの後方支援を拡大したい意向を示した。
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