Financial Times

エジプト大統領選、シシ陣営の台本に狂い低い投票率に危機感募らせ、投票期間を1日延長

2014.05.29(木)  Financial Times

(2014年5月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

エジプト大統領選、投票期間を1日延長

エジプトの首都カイロの投票所で、大統領選の投票に先立ち登録をする女性〔AFPBB News

あるテレビアナウンサーは、エジプトの親たちが投票所に足を運べば、彼らの足にキスし、放送中に裸になってみせると言った。投票の代わりに買い物をすることにした女性については、「撃ち殺すべきだ」と言い切った。

 別のテレビ司会者は、有権者が投票に行かなければ自分の手首を切ると言い、エジプトのイブラヒム・メハレブ首相は、投票所に足を運ばなかった人に70ドルの罰金を科す可能性を示唆した。

 エジプト大統領選挙は、アブドル・ファタ・アル・シシ元国軍最高司令官の演出された“即位”となるはずだった。ところが、選挙は事前に用意された台本から逸れてしまったようで、当局者らは5月26、27両日の公式投票日の低い投票率への焦りを募らせた。

 メハレブ首相は投票日初日の出足の悪さに不安を抱き、27日火曜日を公務員の休日に指定し、民間企業に対しても、従業員が休憩を取り、投票に行けるよう要請した。証券取引所はこれに従い、政府選挙委員会は27日夜の投票締め切り時間を午後10時まで延長したうえ、その後、投票所は28日も引き続き開けると発表した。

 一方、国営メディアと民間メディアは視聴者への説教を強めた。「まだ投票してなくて、そこに座って私を見ているのだとしたら、何してるんです?」。強烈な親シシ派の民間テレビ局メハワールの司会者、モハメド・ショルディ氏はこう言った。「さあ、立って投票に行きなさい!」

 だが、退陣に追い込まれたホスニ・ムバラク元大統領の支配下にあった頃の選挙のように、投票所はずっとガラガラだった。

シシ氏にとって投票率が重要な理由

 「この3年間、選挙疲れが続いてきた」。オーストラリアに本拠を構えるエジプト研究者で、現在はアレクサンドリアにいるアムロ・アリ氏は言う。「シシ疲れと言っても構わないだろう。特にこの1カ月間は、支持者たちが街中で休む間もなく写真を掲げたり、歌を歌ったりしてきたのだから」

 2日間の投票は、軍の支持を得た政府当局に対抗するイスラム主義や左派勢力を標的にした抑圧キャンペーンの最中に実施された。

 シシ氏と同氏の支持者らは世界および国内の懐疑派に対し、ムハンマド・モルシ氏率いるイスラム主義政権を倒した昨年7月3日のクーデターと、民主的統治への「ロードマップ(行程表)」が正真正銘の国民の支持を得ていることを示したいと思っている。

 「エジプトの国際関係、特に欧米との関係にとって、投…
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