維新の会:分党で一致 結いとの合流に石原氏と溝埋らず

毎日新聞 2014年05月28日 20時57分(最終更新 05月29日 00時07分)

 日本維新の会の石原慎太郎、橋下徹両共同代表は28日、名古屋市内で会談し、双方の合意の上で分かれる「分党」をする方針で一致した。橋下氏が目指す結いの党との合流に、石原氏が憲法観の違いなどから反対し、溝が埋まらなかった。維新は2012年9月に結党し、同11月に石原氏が率いる「太陽の党」が合流。衆院53人、参院9人と議席を伸ばしてきたが、約1年半で分裂する。

 石原、橋下両氏は名古屋市内のホテルで約20分間会談。石原氏の方から「別々の道を歩んでいこう」と分党を提案し、橋下氏も了承した。結いとの共通政策に「自主憲法制定」の文言を盛り込むかどうかについて折り合えなかったとみられる。

 石原氏は28日夜、平沼赳夫国会議員団代表、藤井孝男国会議員団総務会長、園田博之国会議員団幹事長代理らと東京都内で会談。石原氏は「基本理念が違う。橋下氏が結いと合流することは認める。お互いが認め合って分党が一番良い」と説明し、新党を結成する方針で一致した。29日に記者会見し、新党結成を表明する。

 党幹部は、石原氏には少なくとも15人は同調するとみている。橋下氏に近い大阪系は20〜30人程度。中間派も20人前後おり、どちらの党を選ぶかが焦点となる。

 維新は4月に結いと参院で統一会派を結成。夏までに新党結成を目指す方針を確認していたが、石原氏は反対を明言していた。

 結いとの政策協議では、石原氏が共通政策に「自主憲法制定」を盛り込むよう強く主張。橋下氏も石原氏に配慮し、今月24日の執行役員会では「憲法改正手続きを踏まえた自主憲法制定」を入れることを確認した。だが、結い側は、民主党を含めた将来的な野党再編の障害になるとして盛り込みを拒否。先行きが見通せなくなっていた。

 分党で橋下氏らと結いの協議は進むとみられる。一方、石原氏ら旧太陽の党系は自民党やみんなの党との距離を縮める可能性があり、集団的自衛権を巡る国会での議論にも微妙に影響しそうだ。

 松井一郎幹事長は28日、大阪府庁で記者団に橋下氏から留守番電話に連絡があったことを明らかにし、「共同代表の一人からの申し入れなので、無理やり羽交い締めすることはできない」と述べ、分党はやむを得ないとの考えを示した。【葛西大博、重石岳史】

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