岩沼市の被災農地で砂違法採取 宮城県が原状回復命令
東日本大震災の復旧・復興工事の資材として宮城県岩沼市の農地から砂を採取したのは農地法違反だとして、宮城県が同市の砂利採取会社に原状回復を命じていたことが27日、関係者への取材で分かった。県内では土砂採取目的の疑いがある山林伐採が確認されており、資材不足を背景としたトラブルが農地でも起きていた。
同社によると、農地は震災の津波で浸水した水田と畑計約5000平方メートル。耕作者は被災で農機具を失ったため営農再開が難しくなり、同社は耕作者と農地を3年間賃貸借する契約を結び、砂の採取計画を立てた。
県土木部は2012年7月に同社の計画を認可したが、県農林水産部は「耕作者の他にもいる親類など農地の相続人全員の同意を得ていない」として農地の一時転用を認めなかった。同社が「復興のための資材が緊急に必要だ」などとして砂を採取したため、県は同年12月に原状回復命令を出した。
同社は農地から9割分の砂を採取済みで、現在は埋め戻し作業中。15年6月に原状に戻すという。
同社は緊急事態などを理由に「一律に回復命令を出すべきではなく、県は柔軟な対応をすべきだった」として命令の取り消しを求める訴えを仙台地裁に起こした。県は「資材の確保に努めるべきだが、資材が高騰する中、1社だけに規制を緩めることはできなかった」(農業振興課)と反論する。
資材不足をめぐっては、仙台市青葉区の蕃山(356メートル)で樹木が違法に伐採され、一部がはげ山状態になる問題が発覚した。同市の建設会社が伐採時の作業道敷設を理由に大規模に山を削っており、土砂採取目的の疑いが出ている。
2014年05月28日水曜日