今後30年で東京都10個分の土地が所有者不明に
Fabio Venni by wikimedia
東日本大震災の被災地で、集団移転が進まない原因の一つに土地の所有者をなかなか特定できないという問題がある。これについて民間シンクタンク東京財団が調査し、報告書を出している。
価値の無い土地は相続登記を放棄
日本には、土地の所有・利用実態を把握するための土地台帳のようなものがない。そして、不動産の所有権の登記 は義務ではないのだ。よって、相続の時点で費用をかけて登記をする価値のない不動産は登記されずに放置されてしまう。被災地では150年以上(登記制度開始以前)相続されていない土地もあり、相続人の特定に途方もない労力がかかってしまっている。
登記の放棄は、特に資産価値がほとんど無くなっている山林に多い。報告書によれば、“管理放棄、権利放置される土地は今後30年内におよそ300万ヘクタール以上にまで増えるおそれがある。”とのこと。300万ヘクタールは東京都の面積の10倍以上の広さである。
外国資本の土地買収で所有者はますます不明に
最近では、外国人や外国資本が国内の不動産を購入する例も増えている。土地の所有者がグローバル化すると、ますます所有者が不明になっていくことは容易に想像できる。水源地が外国資本に買収される問題が起き、15道県では水源地の土地売買の事前届出を義務化した。
報告書は、“人口減少時代に突入した今、この問題を放置し続けると、国土の所有者不明化、無価値化、死蔵化が全国規模で拡大していく”、と警鐘を鳴らしている。 国による早急な対策が必要である。
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- 出典元:国土の不明化・死蔵化の危機〜失われる国土III - 東京財団(3/13)