IDEAS + INNOVATIONS

WIRED VOL.11

WIRED VOL.11

WIRED VOL 11
 
NEWS

宇宙と地球を結ぶ無線ブロードバンドのつくり方

NASAとMITのチームは2013年10月、地球と月の間で「上り19.44Mbps、下り622Mbps」の伝送速度を達成した。このレーザー通信技術について詳細が発表される。

 
 
このエントリーをはてなブックマークに追加

TEXT BY KATIE COLLINS
TRANSLATION BY TOMOKO TAKAHASHI, HIROKO GOHARA/GALILEO

WIRED NEWS (UK)

月探査機「LADEE」に搭載されたLLCD。LADEEは月面の大気や塵を調査する探査機で、2013年9月6日に打ち上げられた。画像は別の日本語版記事より

月や火星などで生活するには、空気や水、新鮮な野菜のほかに、なにが必要だろう? そのリストの上位に来そうなもののひとつが、信頼できるワイヤレス・インターネット接続だ。そして、米航空宇宙局(NASA)とマサチューセッツ工科大学(MIT)のおかげで、大きなデータの伝送や、高精細動画のストリーミングが可能になるかもしれない。

NASAとMITの研究チームは2013年10月、地球から38万km離れた月の周回軌道を回る探査機「LADEE」(Lunar Atmosphere and Dust Environment Explorer)との間で、宇宙通信の新記録を打ち立てた(日本語版記事)。

地球と月とのデータ通信が困難な理由

LADEEが搭載するレーザー通信システムLLCD(Lunar Laser Communication Demonstration)は、月から地球までは622Mbpsでデータを伝送。地球から月への速度も19.44Mbpsを達成した。地球から月へのアップリンクにおけるこの伝送速度は、これまでの無線信号による通信を4,800倍上回るものだ。

NASAとMITのチームは今回、カリフォルニア州で開催される「CLEO」(レーザー・エレクトロオプティクスに関する会議)において、6月9日に研究成果を発表する(すでに米国光学会によって詳細は公開されている)。

「地球から月への高速データ通信は難しい」と、MITリンカーン研究所のマーク・スティーヴンズは説明する。「距離の問題だけでなく、大気中を通すことで、難しさは倍になる。乱気流によって光が屈折し、信号の受信機側で急速なフェージング(受信レベルの変動)や、ドロップアウト(情報の欠落)が発生する場合があるためだ」

 
 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
LATEST NEWS

ARCHIVE

 
SHARE A COMMENT

コメントをシェアしよう

 

BACK TO TOP

WIRED Vol.10 JOBS Interviewbanner