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 中国が西沙諸島近海に石油掘削の装置を運び入れてから約1カ月。27日には掘削装置を移動し、さらなる調査に乗り出した。洋上ではベトナム船との一触即発の緊張が続く。現場の海域に27日、記者が入った。

 午前9時半(日本時間同11時半)。朝日新聞を含む複数の外国メディア記者を乗せたベトナム海上警察の巡視船が中部ダナンの港を出てから13時間半後、水平線上にぼんやりと中国公船「海警」が姿を見せた。周りにベトナム海上警察の巡視船、船種不明の船、オイルタンカーなども見える。その数計約50隻。

 その先に前日まであった、赤と白の要塞(ようさい)のような石油掘削装置「HD981」はない。ベトナム海上警察のルー・ティエン・タン隊長は「第一段階の作業を終え、東方約30マイルの場所に移動したようだ」。

 午前11時過ぎ、記者団を乗せた巡視船の先に海警4隻を含む大型船約10隻が現れた。「ここで本部からの指示を待つ」(タン隊長)。前日の漁船沈没事件を受け、慎重な対応を迫られている。

 約3時間半後、本部の指示を受け、記者らの船と数隻のベトナム公船が東から南に針路を変えて動き出すと、停泊していた中国船団も同じ方向へ動き出した。