集団的自衛権:グレーゾーン結論出ず 与党協議
毎日新聞 2014年05月27日 11時47分(最終更新 05月28日 00時40分)
政府は27日午前、「安全保障法制の整備に関する与党協議会」(座長・高村正彦自民党副総裁)の第2回会合で、集団的自衛権の行使容認など現行法では十分対処できない可能性がある15事例を自民、公明両党幹部に提示した。安倍晋三首相が目指す集団的自衛権の行使容認に当たり得る活動は邦人輸送中の米艦防護や強制的な船舶検査(臨検)、米国本土が攻撃された際に日本近海で作戦を行う米艦防護など8事例。この日の協議では武力攻撃に当たらない「グレーゾーン事態」2事例をまず議論したが、結論は出ず、与党は次回会合で政府にさらに詳細な説明を求めた。
政府側は協議で、グレーゾーン事態▽国連平和維持活動(PKO)を含む国際協力など▽集団的自衛権の行使容認に当たり得る武力行使活動−−の3分野計15事例の資料を提示。「本丸」である集団的自衛権の行使容認が過半数の8事例を占めたが、慎重姿勢の公明党に配慮し、資料では「集団的自衛権」と明記するのを避けた。また、15事例以外に他国の潜水艦が潜没したまま日本領海から退去しない事態も「参考」として示した。
高村氏は協議冒頭、「協議目的は当面の政府方針を作るためだ。大きな方向性の議論を」と求めたが、座長代理の北側一雄・公明党副代表は「一つ一つの事例をしっかり議論したい」と述べ、結論を急ぐ自民側をけん制した。政府は資料に基づき、公明党が前向きなグレーゾーン、国際協力の2分野・計7事例について説明し、集団的自衛権8事例の説明は次回以降に持ち越した。
自公両党は政府の説明を踏まえ、グレーゾーンのうち、▽離島などでの不法行為への対処▽公海上で民間船が襲われた場合の対処−−の2事例について議論。政府が最初の事例を「離島以外に本土のへき地も想定している」と説明したのに対し、公明党が「昨日までの説明と前提が違う」と反発するなど、いずれも結論は出なかった。与党の要請を受け、政府は次回、さらに事例の詳細や検討中の制度改正を追加説明する。
一方、自民党は協議で、2番目の国際協力分野についても、現行憲法解釈で禁じている「武力行使との一体化」を「今までより狭く解釈し、自衛隊の活動できる部分を広げたい」と提案。「駆け付け警護」でも、海外での武力行使に当たらないよう「『国または国に準ずる組織』との戦闘にならない枠組みを作るべきだ」と求めたが、具体的な論議には入れなかった。