5号館のつぶやき

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札幌も花 理研騒動に対する最後のコメント

 今日は札幌です。札幌にも花はたくさん咲いていました。


 にもかかわらず、ちょっと心は沈んでおります。

 今朝見た朝日の記事にかなり衝撃を受けてしまいました。例の「理研騒動」で処分を受けることが想定されている側の弁護団の弁明書が報道陣に公表されたという報道です。その中で投稿した論文原稿に対して戻ってきたコメントへの対応について書かれた部分があるのですが、少なくとも科学をするものとしては「常軌を逸した」態度と言わざるを得ないことが書かれていました。

 例の論文はNatureに投稿される前に、Scieneなどにも投稿されていたということなのですが、Scienceの判断はリジェクト(つまり、再投稿不可)だったのですが、それに対してこんなことが述べられています。
・サイエンス誌からのメールでは、論文が却下されただけでなく再投稿が許可されていない。コメント(指摘)を精査することは通常ない。再投稿できないのであれば、意味がないからだ。
 我々はたとえリジェクトされた論文でも、そこにコメントがあったならば貴重な意見として徹底的に読み込み、別の雑誌に投稿する場合でもそのコメントに対する疑問はクリアされるように論文を書き直すということは常識として行っております。

 少なくとも科学を自分の主な営みとして行っている人間ならば、論文原稿へのコメントについてたとえリジェクトという結論でも、「意味がないから精査しない」などということは口が裂けても言えないと、私は思っていました。

 それが、共著者ともどもそんなものは無意味だから無視したと言い切っているのです。
・共著者がコメントを精査していれば、問題提起がなされたはずである。共著者もコメントを精査していないことは疑いがない。
 これは共著者たちとの共同謀議の自白のようなものです。

 もはや共著者全員で共同正犯として責任をとってもらうしかないと思います。彼らにとって、ScienceやNatureに掲載されることだけが大事で、科学者として誠実に科学に向き合うという姿勢が見えてきません。

 懲戒処分を避けるための民事訴訟ならばいくらでも場外で乱闘を続けていただければ結構だと思いますが、論文投稿というものをアクセプトかリジェクトかだけをキーにここまでゲーム化しているのが今回の論文著者たちだとしたら、やはり全員に科学の舞台から退場していただきたいと思います。そうしないというのであれば理研が最終責任を引き受けるしかありません。

 私としてはこれを最後のコメントとしてこの問題への発言を終える気持ちでいます。




 今日は風は強かったですが、朝から日が照って、札幌の春から初夏らしい一日でした。フジの花も風でちぎられながらも頑張って咲いていました。


 ワクワクしながら真っ白になるのを待ち望んでいるオオデマリも順調です。


 ほんとうは終わりに近づいているはずのシバザクラもまぶしい紫に染まっています。


 せっかくですので、ちょっと引いたところから見たフジの花もどうぞ。


 植物は無駄な言葉を発することがないので裏切られずにいられます。





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Commented by KI at 2014-05-27 21:32 x
自分が査読してリジェクトになった論文が、コメントを全く反映しない形で別の雑誌に掲載されていることは、結構な頻度であります。「リジェクトなのだから査読者のコメントは無視する」というのは、意外と一般的なのかもしれません。自分は、リジェクトでも価値あるコメントには対応しますが。それよりも、これ以上の調査をしないと宣言したR研の方に、心が沈みました。
Commented by 重田光雄 at 2014-05-27 22:09 x
本文とは全く関係無く、写真の話題ですが…
この時期の札幌、あれもこれもなんでもかんでも一気に花開き爽やかです。札幌に生れ育った一人としてエッヘン!と大威張りしたくなるのはヲイラだけでしょうか?
Commented by アキ at 2014-05-27 22:33 x
>コメントを全く反映しない形で別の雑誌に掲載されていることは、結構な頻度であります。

自分は査読者のコメントを読んだ上でコメントを反映せず他のジャーナルに投稿したことがありますが、
その場合は単純にレビュアーのコメントが的外れの言いがかりレベルだったからです。
だからといって「リジェクトなのだから査読者のコメントは無視する」なんてことはありませんよ。
大改訂レベルなら、エディターに「この査読者のコメントはおかしい」と訴えてエディターの意見を仰いでエディター権限でアクセプトに漕ぎつけたことはありますが、
リジェクトじゃ対処しようがないですしね。
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by stochinai | 2014-05-27 20:01 | 札幌・北海道 | Trackback | Comments(3)

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