磯村健太郎
2014年5月27日21時45分
福島県浪江町の除染現場で働いていた作業員の短歌が、朝日新聞「歌壇」欄に載った。もともとは東京在住で、昨春までは郵便配達員。歌を詠むのは初めてだったが、原発事故による福島の現実を目の当たりにして「言葉が降ってきた」という。
この人は池田実さん(61)。19日付と26日付の紙面で、計4首選ばれた。
除染する熊手の上に降る花弁愛(め)でられず散る浪江の桜
どれくらい除染すれば人は帰るだろう自問を胸に刈る浪江の草花
池田さんの主な仕事は、川沿いの土手で刈った草を熊手で集める作業だ。4月中旬、桜が満開を迎えた。ふだんは無口な仲間が「ああ、きれいだな」とつぶやいた。しかし、近くの浪江高校にも人影はない。桜をかわいそうに思う気持ちや作業のむなしさが混じり合った。
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