ぼくはサラリーマン時代、よく大阪に出張に行っていた。東海道新幹線を頻繁に使う人なら気になっているであろう車窓風景が、神奈川県平塚を通過するときに北側、新幹線の座席でいうとE席から見えるあの住宅街だ。
↑これ。新幹線車内から高速で通過するのをなんとかとらえた。D席に座ってたおじさまが「なんだこいつ…」って怪訝そうだった。
この新幹線車窓からの一枚と、最初のタイトル画像に使った道路からの写真はほぼ同じ部分だ。結論から言うと、これが今回の成果です。
↑航空写真で見るとこんな。白い線で囲ったのがくだんの住宅街。それにしても南東の平塚駅付近から北西に向かって田んぼが市街地化されているのがよく分かる。面白いのは新幹線でその市街地化がせき止められるように終わっている点だ。まるで防波堤のようだ(大きな地図で表示)
まわりが田んぼなので目立つことと、斜面にひな壇のように並んでいること、そして三角屋根が特徴的であることから目を引く。ネットで検索するとぼくと同じようにここが気になって訪ねている人がけっこういらっしゃる。気になるよねえ。
この住宅街「日向岡」という名前だ。平塚駅からバスで行ける。駅北口から「湘南日向岡ゆき」だ。行ってみよう。
■カラフル
↑バス車内から見えたときは思わず声を上げた。
↑ここが終点。
「岡」の名前はダテじゃないことがわかった。すごく岡!
↑病院のシンボルマークも岡押し
↑「ヒナタリカー」っていい名前
つい終点まで来てしまったが、新幹線から見える部分はこの岡の反対側で、通り過ぎてしまったエリアだ。そこへむかって戻り歩いていると、あちこちに車窓から見えるあのカラフルな住戸のイメージ通りの物件がたくさんある。
↑夕方の日を浴びてすごくオレンジ
↑ピンクとか赤とかある中で見ると青なんかは地味に見えてくる
20分ぐらい歩いて、反対側の南東の斜面、新幹線が見下ろせる場所にたどり着いた。
↑おお!ここだ!
↑そうそう、こんな感じ!
↑いざ間近に来て見ると、意外とふつう。いや、そんなことないか。どうだろう。
↑眼下を新幹線が走り抜ける。
印象的だったのは、車窓から見るとすごく近くに見えたが、反対にこっちから見るとすごく距離がある。車窓マジックか。
■地形豊か
それにしても、岡だ。
↑おじさまが修行のように登っていった。
これだけ岡だと地形図で見たくなる。前出の航空写真と同じ範囲の地形を見ると、こんなだ
↑国土地理院「基盤地図情報数値標高モデル5mメッシュ」をカシミール3Dで表示したものをキャプチャ・加筆加工
すごい。あらためて、岡。新幹線を向いている方がまさに「東南角地」の好立地というわけだ。そりゃあ「日向岡」って名付けるわ。
で、上を見てて興味を惹かれたのが、ボコンと凹んだ部分。これ遊水池だ。行ってみよう!
↑予想以上にかっこよかった。こういうの好き。「遊水池・調節池写真集」とか作りたい。だれが買うんだ。ぼくか。ぼくだけか。
↑遊水池ビューのこの集合住宅もいいぞ!
安藤忠雄設計の「六甲の集合住宅」を彷彿とさせる。いや、かっこいい遊水池付きなのでこっちのほうがすてきだ。
↑日向岡のはじっこに位置しています
斜面を開発すると水のコントロールをしなければならないので、丘陵地の住宅街には必ず調節池・遊水池がある。以前描いたGPS地上絵の「踊場サムアップ熊」はまさに親指の部分が調節池だった。あそこもすごく坂の多い住宅街だった。丘陵地じゃないけどみんな大好き「首都圏外郭放水路」も同じ機能だし、あとこれも以前見に行った都心の真ん中の地下にある「古川調節池」も同じ。21世紀になっても都市は水のコントロールに腐心しているのだねえ。
↑大雨の時にバッファとして機能するのです
↑案内版にもしっかりと遊水池が示されている
■やっぱり全景を見たい
何回も車窓からは見ていたが訪れたことはなかった住宅街を目の前にして満足。遊水池も見れたし。だが、やっぱり全景が見たい。近づいちゃうとあんまりあの「岡の斜面の三角屋根がいっぱい感」がない。
ので、てくてく岡を下り、新幹線を越えて遠くまで歩きました。
↑岡を降りたとたん街の雰囲気が変わる。このコントラストいい。
↑で、畑が広がる南側から新幹線越しに見えるところまでやってきた!おおー!
↑あらためておもしろいなあ。
↑まわりはこんな。
前述したように新幹線から見えるこっち側は南東なので、午後に行くとご覧のように逆光になってしまう。自分も行ってみよう、と思った方は午前中にぜひ。あと夜景も見てみたいね。