米グーグル日本法人(東京・港)は27日、家庭のテレビでインターネット動画などを視聴するための機器を28日に発売すると発表した。既存のテレビに取り付けるだけで、グーグルの動画配信サイト「ユーチューブ」や有料動画コンテンツを大画面で楽しめる。コンテンツを抱えるネット企業と放送会社の間で、テレビの視聴時間の奪い合いが激しくなりそうだ。
専用機器「クロームキャスト」はUSBメモリーよりやや大きなサイズで、高画質な映像の伝送に使うテレビの「HDMI端子」に接続する。無線LAN(構内通信網)のWi―Fi(ワイファイ)通信機能を備え、家庭内の無線LAN経由でネットから動画を取り込みテレビで再生する。
専用機器の価格は4200円でグーグルの通販サイトのほか、ビックカメラやヤマダ電機の店舗で販売する。米国で昨年7月に発売し、世界で数百万台を販売した。
利用者はスマホやタブレット(多機能携帯端末)の設定画面を数回操作するだけで設定を完了。スマホやタブレットをリモコン代わりに使って、番組の再生や音量調節などができる。
グーグルの動画配信サイト「ユーチューブ」が見られるほか、グーグルの配信サイト「グーグルプレー」から日米の映画やテレビドラマなど約6000作品を視聴できる。このほかNTTドコモの「dビデオ」、KDDIの「ビデオパス」の動画コンテンツも視聴できる。対応サイトは順次増やす。
コンテンツの料金は様々だが、グーグルプレーの場合は1本あたり300~400円程度、dビデオは月額500円で見放題だ。
HDMI端子の付いたテレビならば高精細な映像を映し出せるため、パソコン画面に遜色ない画質で表示できる。
ネットに接続して動画などを視聴する機器では、テレビメーカー各社の「スマートテレビ」のほか、セットトップボックスと呼ぶ外付け機器などがある。海外勢でも米アップルが「アップルTV」、ネット通販の米アマゾン・ドット・コムがゲームもできるセットトップボックスを米国で発売している。
米グーグルのクロームキャストは他社の専用機器に比べ価格が3~5割程度安い。自社の動画配信サービスだけでなく、NTTドコモやKDDIのサービスもまとめて提供する。
米グーグルでクロームキャストを担当するマージド・ベイカー氏は27日の記者会見で「とにかく操作が簡単で、利用者は使い慣れた自身のスマホやタブレットを、テレビのリモコンとして使える」と強調した。同社は低価格と使いやすさを強みに普及を目指す。
米ビジネスインサイダーの調査によると、グーグルは米国の動画配信の専用機器市場で、アップルなどに次ぐ3位につけている。
グーグルの狙いは消費者がユーチューブなどを視聴する機会を増やし、広告収入増につなげることだ。配信サービスを使う消費者が多いほど、配信する広告の価値が高まる。そのためにグーグルは、低価格で簡単、かつできるだけ多くのテレビや端末を使える方式を考案した。
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