【キエフ=田中孝幸】ウクライナ軍は27日、同国東部各地で行政庁舎などを占拠する親ロシア派武装勢力に対する総攻撃態勢に入った。内務省によると空軍機が東部ルガンスク州にある親ロシア派勢力の訓練キャンプを空爆し、壊滅させた。軍部隊は親ロ派が一時占拠したドネツク州の空港も奪回した。ドネツク市当局者は同日、ドネツク空港周辺の空爆と戦闘によって約40人が死亡したと明らかにした。
25日の大統領選挙に勝利したポロシェンコ氏は武装勢力の排除作戦を加速すると表明。軍は親ロ派に対する空爆に踏み切った。ヤレマ第1副首相は27日、「テロリストの最後の1人がいなくなるまで対テロ作戦を続ける」と宣言した。
タス通信によると、軍は26日には親ロ派が拠点とする同州スラビャンスクを砲撃し、4人の死者が出た。守勢に立たされた現地の親ロ派武装勢力の幹部は27日、「ドネツクは破局の寸前にある」と述べた。ロシアに武器供与を含む支援を求める考えを示した。
ロシアのプーチン大統領は27日、イタリアのレンツィ首相との電話協議で「ウクライナは(親ロ派への)軍事作戦をすぐにやめるべきだ」と強調。ラブロフ外相は新政権に親ロ派との対話を始めるよう促した。
ポロシェンコ氏が求めたロシアでの来月上旬のプーチン大統領との会談については「検討されていない」と語った。反発を強めるロシアが新政権に今後、どのような対応をとるかが焦点となる。
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