コラム:米中サイバー摩擦で米企業に「締め出し」リスク
Ethan Bilby
[香港 26日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国が、自国企業にサイバー攻撃を行って秘密を盗んだとして、中国軍関係者を訴追したことで、米企業に対する中国の風当たりが強まっている。中国が手にしている武器は、米企業を将来の経済成長がもたらす恩恵から締め出すことだ。
米連邦捜査局(FBI)がスパイ行為に関与したとされる5人を「最重要指名手配犯」のリストに掲載すると、中国は予想通りすぐに反応。国家安全保障の名目で外国の情報技術(IT)関連企業を監視する方針を打ち出し、基準に達しなかった企業は製品・サービス提供を禁止される恐れがある。また国営メディアによると中国当局は政府内で「ウィンドウズ8」の使用を禁じ、英フィナンシャル・タイムズ紙は国有企業がマッキンゼーなど外資系コンサルティング会社との契約破棄を指示されたと伝えた。
中国側がどれほど真剣にこうした措置を実行するかは定かではないが、潜在的な脅威は大きい。世界貿易機関(WTO)は加盟国に対して、外国製品・サービスの差別的に扱ってはならないとしている。しかし国家安全保障上の理由がある場合は例外として認めてもいる。米政府が華為技術や中興通訊(ZTE)(000063.SZ: 株価, 企業情報, レポート)などの中国本土系通信企業に国内市場への参入を許していないのはまさにそれが理由だ。
欧米企業の中で、中国における売上高の比率が比較的大きいのはアップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)などの消費者向けエレクトロニクス業界で、アップルの昨年の売上高のうち中国の割合は15%だった。だが中国政府が国民に「iPhone(アイフォーン)」を持つのを禁止する事態を予想するのは難しい。
法人取引に重点を置く企業の売上高はより大きな影響を受けやすいかもしれないとはいえ、損失額はより小さい可能性がある。例えばシスコシステムズ(CSCO.O: 株価, 企業情報, レポート)の場合、オーバムのアナリストによると昨年第3・四半期においてはネットワーク関連機器の売上高のうち中国向けの比率は3%にすぎなかった。
とはいっても中国が国内の電子商取引ブームから米企業を締め出すかもしれない状況は、大きな悪影響をもたらす可能性を秘めている。IBM(IBM.N: 株価, 企業情報, レポート)やシスコといった企業では既に中国向け売上高が減少しつつあり、将来の成長をもたらす重要な要素を失ってしまうリスクは高まっている。オーバムによれば、中国は世界の主要ネットワーク機器市場を2018年に約4倍に拡大させることになる。米企業が、産業スパイ問題をめぐる米中対立のあおりを受ければ、未来の収入源から切り離されかねない。
●背景となるニュース 続く...