3D事件:銃自作に歯止めなく 低価格化、図面広く流布
毎日新聞 2014年05月27日 15時00分(最終更新 05月27日 16時47分)
3D(三次元)プリンターで製造した拳銃を所持していたとして、元湘南工科大職員、居村(いむら)佳知容疑者(28)が銃刀法違反(所持)容疑で逮捕された事件で、神奈川県警は近く、武器等製造法違反容疑で同容疑者を再逮捕する方針を固めた。事件は、誰もが殺傷能力のある拳銃を自作できる実態を浮き彫りにした。インターネット上にあふれる図面は約380万件。専門家からは「大事件が起きる前に歯止めを設けるべきだ」との指摘も上がるが、法規制は難しい。【水戸健一、鈴木敬子、松浦吉剛】
県警は今月8日、殺傷能力のあるプラスチック樹脂製の拳銃2丁を所持していた疑いで逮捕に踏み切った。捜査関係者によると、その後の調べで、居村容疑者がこの2丁を昨年9〜12月、川崎市の自宅で製造した疑いが強まったという。湘南工科大は今月12日付で同容疑者を懲戒解雇した。
◇強い執着心
居村容疑者は小学生の頃から銃に興味を持ち、モデルガンの組み立てや分解を楽しんでいた。中学卒業後、高等職業技術校に進み旋盤技術などを習得。東京都内の町工場で約7年半働き、大学職員になった。銃への関心は持ち続けていたとみられ、調べに対し「知識は誰にも負けない」と誇示しているという。
一方で、ツイッターで「学生時代も友達いませんでした」「銃は親友」とつぶやき、銃所持の理由を「自衛と弱者を守るため」などと供述していることから、県警は自己顕示欲を満たそうとした可能性もあるとみている。
◇5万円前後
居村容疑者は、銃製造のための図面を「海外のサイトから入手した」と供述した。実際、「gun(銃)」「blueprint(設計図)」「real(本物)」のキーワードで検索すると約380万件のデータなどがヒットする。種類も拳銃、ライフル、マシンガンなど多種多様だ。
データなどをダウンロードし、3Dプリンターに出力すると銃ができる。一般的な二次元プリンターで印刷するのと同じ要領。3Dプリンターは低価格化が進み、居村容疑者が使った製品は5万円前後とされる。ある販売会社の担当者は「安価なものでも銃製造は可能」と指摘する。
◇法規制なし
図面のダウンロードに法規制はない。県警はサイバーパトロールで書き込みの監視を強める方針だが、実際に製造されているかどうか、それだけでは確認できない。