財務省は27日、日本の企業や政府、個人が海外に持つ資産から負債を差し引いた対外純資産残高が2013年末時点で325兆70億円になったと発表した。前年に比べ9.7%増え、過去最高になった。海外企業の買収など日本企業の海外展開が加速する中で円安が進み、日本の投資家が海外にドル建てで持つ資産の円換算額が膨らんだ。
麻生太郎財務相が同日の閣議で報告した。対外純資産残高は2年連続で過去最高を更新した。300兆円を超えたのは初めて。円安でも海外での企業のM&A(合併・買収)や新興国投資は衰えておらず、日本は23年連続で世界最大の債権国となった。
対外資産残高は前年と比べて20.4%増え、797兆770億円。このうち海外直接投資は31%増え117兆7260億円だった。日本企業が買収や出資を通じて海外市場を開拓する動きが活発化している。海外への貸し付けも111兆6390億円で28%増えた。
海外株式など証券投資も18%増えた。証券投資のうち45%が米ドル建て。13年末時点の円相場は1ドル=105.37円と12年末に比べ19円の円安が進んでおり、海外資産の評価額を押し上げた。
対外負債残高は前年と比べて29.1%増の472兆700億円。証券投資の負債残高が251兆8610億円と4割増えた。海外投資家が保有する日本株が値上がりしたことが主因。日本株の新規取得も残高を押し上げた。
市場では、国内市場が縮小するなか、今後も対外純資産は増える可能性が高いとの見方がある。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「日本の製造業は今後もアジアなどの堅調な内需を狙った直接投資を増やす」と見ている。
ただ13年末時点の日本の対外純資産の伸びは1割にとどまり、2位だった中国(38%)や3位のドイツ(58%)に比べると小さい。日本の経常収支の黒字が縮小を続けていることが背景にある。今後、仮に日本の経常収支が赤字に転落すれば、国内の資金需要を満たすために海外の資金に依存せざるを得なくなるので、対外純資産が減少に転じる可能性が高い。
麻生太郎、SMBC日興証券