旅客船「セウォル号」が沈没してから2週間ほどたった29日、ソウル・江北地区にあるA中学校の5階。 2年生の教室に入り、教壇の上から床を見ると一瞬、めまいを感じた。教室の出入口から窓側に向かって床が高くなっており、傾きが感じられるほどだった。学校関係者は「床を水ぶきするたびに水が廊下側に流れ、たまってしまう」と話した。一緒に来た施設安全専門家は「工事の最初段階で基礎部分を水平にしないまま進めたためだろう」と指摘した。
1964年に鉄筋コンクリートで建てられたこの建物。教室と廊下のひび割れや剥がれたペンキの程度はあらためて言うまでもないほどひどい。教室の床は崩れた歩道のブロックのようにあちこちくぼんでいた。大人の指が半分ぐらい入る深さなので、ヒールの高い靴を履いている女性はおちおち歩いていられないだろう。学校側は「生徒たちには教室中では絶対に走らず、いつも気を付けるよう呼び掛けている」と話した。この校舎は2008年の安全性評価で補修・補強が至急必要だと判定され「災害危険管理施設」に指定されたが、いまだに補修・補強工事ができていない。その間にも壁の亀裂はいっそうひどくなり、コンクリート強度も落ちていることが昨年の安全性評価で確認された。この学校より3年以上前に建てられたソウル市麻浦区内の麻浦マンションは既に20年以上前に撤去され、建て直されている。
セウォル号沈没の悲劇が今も続いている中、災害危険施設と判定された全国の学校校舎・施設133棟で児童・生徒たちは今も授業を受けている。子どもたちはいつ崩れてもおかしくない安全の死角地帯で毎日を過ごしているのだ。
■災害危険膨らむ学校施設
同じ日に訪れたソウル・江北のB小学校も、建物4棟のうち3棟が安全性評価でD判定を受けた災害危険施設だ。
1975年に完工したソウル駅の高架道路などD判定を受けた構造物は判定から1年以内に撤去されているケースが多い。また、マンションがD判定を受ければ普通、建て直しの手続きに入る。しかし、学校については「近所に住む児童・生徒を遠くの別の学校に割り当てるのは難しい」という理由などで、D判定を受けても放置されるケースが多かった。このため、学校関係者の中には「いっそE判定を受けて使用停止になった方が気が楽だ」という人もいる。