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その文章を難しいと判断して、「頭がいいと思われたい人なんだ」と他人の内心を忖度してるのは誰の基準でしょうか

頭がいいと思われたいことってすごく人間臭い欲求だし悪いことじゃありません。 ただ、ちょっとダサい。 かっこ悪いですよね。 そういうダサい大人にならないように、自分が「頭がいいと思われたい人」になってるなあという時の特徴を考えてみました。

(以下見出し)
平易な言葉を避ける
わかりにくい例えを使う
態度が大きい
他責的
わかりにくい例えを使う

頭がいいと思われたい人にありがちな特徴 - 指揮者だって人間だ頭がいいと思われたい人にありがちな特徴 - 指揮者だって人間だ

 読みましたー。言いたいことはよく分かりますし、共感しやすいのですが、だからこそ結構危険な話法だなぁと直観的に思いました。その事について、「どういう事だろう?」とちょっと考えてみました。頭がいいと思われたい人なので。

「私の難しい」と「あなたの難しい」のレベル感は等しい?

 1対1の対話において理解されないのであればコミュニケーションが成立していないので、そこを合わせられない人は「頭がいいと思われたい人」でも良いのかもしれません。文章中では「地域住民への説明会のような場所」でという限定があるのですが、すべての文章や会話は「地域住民への説明会のような場所」ではありません。

 自省だったり、1対多の文章においては単純に自身の理解力が想定読者に比べて劣っているだけだったり、そもそも対象外だったりする事もあります。「客として胡座」を前提として、自身には疎外が起こりえないと考えるのは傲慢です。この時に、「難しい」と判断しているのが自身の主観にある場合において、相手の内心を忖度*1するのは悪手です。平易な言葉を避けているという意識すらない人に、それに紐付いた意図が生まれるわけもないのですから。

難しい事を言う理由は他にも色々ある

 殆んどの人は「頭がいいと思われたい」が故に平易な言葉を避けているわけではなくて、そちらの方が正しい意味になったり、コンパクトになるから使っていると思われます。「どんな難しい話でも、俺達にわかるレベルで簡単に説明できるべきだ」という暴力性は結果としてどうでも良い事しか話せなくさせていきます。

 別に「頭がいいと思われたい人」とみなされること自体は大した話ではないのですが、「ただ、ちょっとダサい。かっこ悪いですよね。」という規定をするのはあまり良い事ではありません。まずは理解できない自分こそが「ただ、ちょっとダサい。かっこ悪いですよね。」が前提にあった上で、はじめて相手の話になるのではないでしょうか。そうしけなければ何時までも自分の作った基準から抜けだせません。

自己言及的に拒否可能な言葉を使っている

 「この人は頭がいいと思われたいんだ」という印象を抱いたとして、それを相手に聞いてみましょう。大抵は「そうではない」と答えるでしょう。本当にそうだったとしても、言われれば拒否可能です。拒否された事について「いや違うね」「でも本当は違うでしょ?」とレッテル貼りトークをすればディスコミュニケーションとハラスメントの主体となっているのは自分だという話になってしまいます。

 それでも第三者にとっては共感を得られるかもしれませんが、もはや議論ではありません。このような場合には自己言及的には拒否不能な外形的な部分を表す言葉を使う必要があり、かつ侮蔑の意図を紐付けてはいけないと思います。

まとめ

 「難しい事をいうのは頭が良いと思われたいからだ」というのを短絡するの自己基準を前提に他者の内心を推し量る行為となります。これをすると自己と他者の境界が曖昧で的外れなハラスメントを繰り返す人になってしまうので注意が必要です。また未熟である事に胡座をかいて幻想上の優位性を患う認知バイアスを患うとずっと未熟なままになってしまいます。それは全く「他責的で態度が大きい」ということではないでしょうか。

 書く側としても、広く理解してもらう事を目的とするのであれば、なるべくは理解可能なように書こうという意識が必要になるのは前提です。それでも難しい事を書く必要性があったり、自分や同じ段階の人と対話するための文章について、そのような揶揄を最初に考えてしまうのは損失のが大きいのではないでしょうか。それは自身が難しい話をする必要がでてきた時に枷になるということでもあります。

 そんなわけで、他人の意図を卑小なものに落とし込めて、自身が短絡しているのかもという部分を点検してかないと大切なものを落としたコミュニケーションしかできなくなってしまうのかもしれないなぁと思いました。もちろん難しいことばかり言う人はむかつくけどね。

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*1:「他人の心をおしはかる」という 意味。はてな村で頻出する言葉で「そんたく」と読みます。