集団的自衛権:政府 たたき台15事例を27日提示
毎日新聞 2014年05月26日 22時22分(最終更新 05月26日 22時50分)
政府は27日の自民、公明両党の「安全保障法制の整備に関する与党協議会」に議論のたたき台となる15事例を提示する。具体的な事例を挙げて国民にも分かりやすく示すことを求めた安倍晋三首相の意向を反映した。しかし、15事例は政府が実現したいことを網羅しているわけではない。関連法改正の段階では、15事例に挙げられていない事態への対応も可能になる余地が残っている。
与党協議会に示されるのは、武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」の3事例、国連平和維持活動(PKO)での武器使用や、国連加盟国が一致して制裁を加える集団安全保障措置への支援など「国際協力」に関する4事例、現行解釈では行使できないとされる「集団的自衛権」に関する8事例−−の3分野。
政府は当初、他国の潜水艦が潜没したまま日本の領海から退去しない場合への対処も、グレーゾーン事態として示すことを検討したが、事例からは外し「参考資料」とした。対処方法として、爆弾を潜水艦に当てないように投下することを想定しており、公明党が難色を示すことが必至だったためだ。
政府関係者は「事例を考え出すといくらでも広がっていく」と語っており、すべてのシナリオを検討するのは事実上、不可能だ。このため、与党協議で政府が示した事例について結論が出たとしても、法改正の段階で、何を可能にするかを巡り議論が再燃する可能性がある。
27日の協議会で、政府はグレーゾーン事態と国際協力の計7事例について説明する予定だ。グレーゾーン事態では、沖縄県・尖閣諸島を念頭に、離島を武装集団が占拠した場合を例示。海上保安庁の装備増強や権限強化で対応が可能と主張する公明党と、自衛隊による迅速な出動の備えが必要とする自民党で意見調整が付くかが焦点となる。
国際協力に関しては、国連PKO派遣時に現在認められている正当防衛などの武器使用権限を拡大し、駆け付け警護や任務遂行の妨害を排除する武器使用を認めるか議論する。また、国連安保理決議に基づく多国籍軍が、侵略国に軍事的な制裁を科す場合の後方支援のあり方も協議する。