上関原発:「結論1年先送り」山口県の議事録存在せず
毎日新聞 2014年05月27日 05時00分
中国電力が山口県上関町に計画している上関原発の海面埋め立て免許の延長申請を巡り、「結論を1年先送りする」とした県の判断について、庁内で開かれた協議の議事録が存在しないことが26日、県への情報開示請求で分かった。村岡嗣政知事は判断理由を明らかにしておらず、意思決定の過程を今後検証できない可能性が高い。
毎日新聞が県に、庁内で開いた協議の議事録やメモなどの公文書を開示請求したところ、26日付で「作成していないため存在しない」として却下された。
埋め立ての許可権を持つ県は、4月14日に中国電から延長申請に関する補足説明を受け取り、それを基に知事や土木建築部長、港湾課の担当者が許可・不許可の判断について協議。村岡知事が今月14日、「1年先送り」との判断を発表した。
議事録が存在しないことについて、港湾課の担当者は「個人的なメモは取っているが、庁内での会議は通常、議事録を作成しない。今後も(作成の)予定はない」と説明。学事文書課によると、議事録作成などを定める規則はないが、別の職員は「会議の重要性によって作成する」と話す。
情報公開の推進活動に取り組む、NPO「情報公開クリアリングハウス」(東京都)の三木由希子理事長は「上関を含めた原発の動きは多くの人が関心を持つテーマ。行政がどのように意思決定したのか検証は欠かせない。そのためには客観的な資料が必要で、行政内部での協議の内容が分かる議事録のようなものを作成するのは当然だ」と指摘する。
上関原発の埋め立て工事は、東京電力福島第1原発事故の影響で2011年3月から中断。免許失効直前の12年10月、中国電は延長申請を提出したが、県は判断を保留している。【蓬田正志】