今度栄養学の話を何故か栄養学と全く関係無い僕がすることになってしまいました。
畑違いも甚だしいですが、依頼は基本断らないをモットーにしている僕としては二つ返事でOKしてしまいました。しかし、専門外なので考えが纏まらない。どうせならブログのネタにして勉強すれば一石二鳥では無いか?そう思い立ったので書いてみる。
ビタミンEの歴史
1922年、EvansとBishopらによりビタミンEはラッ トの不妊因子として同定された。
ビタミンEはトコフェロール(tocopherol)と命名され、これはtocos(子供を産む)とphero(生命を与える)に由来し、olは水酸基を有するアルコールを意味する。
ビタミンEの種類
ビタミンEはトコフェロールとトコトリエノールに分類され,それぞれ α・β・δ・γの同族体が存在する。
ビタミンのEの働き
ビタミンEの主な作用は抗酸化。
体内において最も強い抗酸化作用を有するビタミンEは、αトコフェロールである。
ビタミンEの含まれる食品
下記参照
ビタミンEの多い食品と、食品のビタミンEの含有量一覧表 | 簡単!栄養andカロリー計算
ビタミンEの臨床試験
ビタミンEの抗酸化作用は、動脈硬化の進展を抑制することが知られている。
そのため、ビタミンEが心・血管障害(心筋梗塞,脳血管障害,心血幽幽など)の発症および死亡率を予防あるいは抑制することが期待され、多くの臨床試験が行われた。
これらの臨床研究の結果では、必ずしもビタミンE投与は心・血管障害の発症および死亡率に対して有効性を示さなかった。
二木悦雄,阿部皓一:ビタミンEは疾患予防に対して有効か?:介入試験とバイオマーカーに基づく評価.ビタミン229−247.2009
正の面でのビタミンE
喫煙男性を対象に5年間ビタミンEとβカロチンの投与を行い、19年間フォローアップした臨床研究において、ビタミンE濃度は死亡率と負の相関を認めることが見出された。
この論文の要旨は、血中ビタミン濃度が30~33μmol/L(1,300~1,400μg/d:L)であれば疾患の死亡率が減少したという話しであるが、このビタミンE濃度を維持するには,、ビタミンE摂取量を15mg/日に設定する必要があるということだ。つまり、この論文位死亡率を減らすには、日本人の食事摂取基準(2010年)でのビタミンE摂取の目安量は, 成人男性7mg/日および成人女性6.5mg/日の2倍以上を摂取するという事をしなければならない。
Wright ME, Lawson KA, Weinstein SJ, et al : Higher baseline serum concentrations of vitamin E are associated with lower total and cause-specific mortality in the Alpha- TocopheroL Beta-Carotene Cancer Prevention Study. Am J CIin Nutr 84 : 1200-1207, 2006
ヘム鉄中和作用が遺伝的に弱いHp2-2遺伝子多型を有する糖尿病患者において、心・血管障害の発症率がビタミンE服用群(4001Uまたは268mg/日,18ヵ月)で2.2%、対象群で4.7%であった。ビタミンE投与群において、有意に心・血管障害の発症率が抑制されていた。
Milman U, Blum S, Shapira C, et al : Vitamin E supplementation reduces cardiovascular events in a subgroup of middle-aged individuals with both type 2 diabetes mellitus and the haptoglobin 2-2 genotype : a prospective double-blinded clinical triaL Arterioscler Thromb Vasc Biol 28 : 341-347, 2008
ビタミンEの負の面
骨粗鬆症の誘発の可能性
破骨細胞を培養し、ビタミンEを添加するとDC-STAMPの産生を誘導し、破骨細胞が巨大化し、骨を吸収する能力が亢進した。正常マウスと正常ラットにビタミンEを添加したエサを8週間投与すると、破骨細胞による骨の吸収が高進し、骨粗鬆症を発症するという報告もある。
武田 秀 日本抗加齢医学会雑誌
青コリの結論
適量摂取って大事ね。