【動画】太鼓や衣装を新調して復活した「熊川稚児鹿舞」=内田光撮影
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 子ども踊りや神楽など、福島県沿岸部にある民俗芸能の6割にあたる約230団体が活動を休止し、伝統が途絶える危機にさらされている。東日本大震災の影響で生活基盤が安定しないという。文化庁の依頼で、民俗芸能学会福島調査団(懸田弘訓団長)が調べた。

 調査は2012年1月から14年3月まで。調査団によると、沿岸部の浜通り地区では約400団体が活動していたが、震災後に最多で約260団体が休止した。原発事故による避難生活が引き金になったのは約200団体。道具が流されたり、指導者が亡くなったりするなど、津波の影響が約60団体。復活したのは約30団体に過ぎない。

 民俗芸能の道具は一つ数十万円するなど高価なものが多い。調査団によると、12年からの2年間で文化庁から5千万円の補助金が出ており、道具を新調し、避難先で復活の準備をしている団体もある。ただ、「故郷で踊りを」との声は絶えないという。