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【社会】

東京港 港湾道路 放置トレーラー常態化 都、4地区罰則へ

2014年5月26日 07時17分

道路中央線付近に放置されたトレーラー=東京都品川区で(画像を一部加工しています)

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 東京港埠頭(ふとう)の港湾道路で、大型トレーラーが運搬車両から切り離された状態で長時間放置され、事故も招いている。一帯は道路交通法の対象外で、警察の取り締まりは不可能。放置による死亡事故も起きていることから問題視した東京都は来春から、違反者に罰金を科すなど本格的な取り締まりに乗り出す。 (松村裕子)

 品川区の大井埠頭敷地では、コンテナを後部のトレーラーに載せた運搬車両が頻繁に行き来する。道路の脇には、前方の運転席部分が無いトレーラーがずらり。「常習的。マナーの悪さにもほどがある」。放置防止のため見回る都トラック協会のメンバーが嘆いた。

 都などが二〇一一、一二年実施した調査では、東京港の港湾道路で一日平均トレーラー百十九台が放置されていた。このため、渋滞も慢性的に発生している。

 一二年三月には、放置トレーラーに停留所をふさがれたため道路中央寄りに停車した路線バスに、後続車が追突して運転者が死亡。この事故を含め、大井埠頭だけで放置トレーラーを原因とする死亡事故が〇六年以降計三件起きている。

 しかし、港湾道路は港湾法に基づいて管理され、国道や都道などを対象とする道交法の対象外。このため都は今秋にも港湾法に基づき、大井、青海、品川の三埠頭と中央防波堤の一帯を放置禁止区域に指定、トレーラーを放置禁止物件に定める。来年三月以降、違反者には一年以下の懲役か罰金を科すことができる。

 港湾法による放置禁止区域指定をめぐっては、川崎市が〇八年に川崎港で車両を対象に禁止区域を指定したが、罰則を適用したことはなく、都が罰則を科せば全国初となる。

 なぜ東京港で放置トレーラーが絶えないのか。運送会社によると、コンテナを船に積んだり降ろしたりするためのターミナル前には、順番待ちの運搬車両が長時間にわたり行列をつくることが多い。列に並ぶ時間を惜しむ業者がトレーラーだけを切り離して周辺の路上に放置し、別の仕事を済ませてから受け付けの締め切り間際に並ぶケースなどが多いという。

 埠頭一帯には時間貸しの駐車場があるが、利用は二割にとどまる。大手運送業者の多くは自社所有か月決めの駐車場を確保しているが、都は「特に地方の業者が有料を嫌う」と話す。

 都や運送、港湾業者はパトロールやビラ配布などで放置をやめるよう呼び掛けてきたが効果が上がらず、強制的な取り締まりに乗り出すことにした。都の担当者は「パトロールだけで対応できる状況でなくなった。渋滞や事故の原因になっているトレーラー放置を一掃したい」と話している。

(東京新聞)

 

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